『男のための自分探し』 by 伊藤健太郎
最近順調に読みこなしている『本が好き!』プロジェクト。
ですが、
今回手にした本は、今までの本の中で最も持ち歩くのが恥ずかしかった。
(このプロジェクトで手にした本はカバー無しで持ち歩くようにしているので)
- 1万年堂出版
- 1260円
そもそも「自分探し」という言葉が、みかん星人は好きになれない。
確かに、そういう意識は必要だと思うけれど、
それは、意識であって、疑問であって、原動力では在るだろうけれど、
「言動」となって発露されるものではない、と思う。
まして、今日のように「目的」となっているのは、理解不能。
と、いうわけで、だからこそ、この本を選んでみたのだけれど、
この本に書いてある事は、まさに私が感じていた事への回答でもあった。
つまり、
「自分探し」は目的や言い訳・・・たとえば、
「自分に素直に」とか「自分がやりたいことをする」というのではなく、
「自分探し」は、
「行動のテーマ」であり、明日の「方向付け」なのだということ。
ともかく、その「自分探し」とはどういうことなのか、
という点に関しては、この『男のための自分探し』を読んでいただくとして、
ここで、改めて注目したいのが「男のための」という部分。
「男と女」という分け方は、最近とても難しい。
「社会的・文化的な性のありよう」と「生物学的な性」との区分。
そしてまた「生物学的な性」においても、
自分の性をどう捕えるか、
つまり「性自認」とか「性同一性」と言われる区分もある。
が、この本がテーマにしている「男」というのは、
配偶子に「精子」を持つオスのこと。
つまり、生まれながらにして体内に「卵子」をもつメスをもとめて、
他のオスたちと生涯を掛けて熾烈な争いを続けさせられる生き物のこと。
より多くの、より美しい「卵子」を捕まえるために努力する「精子」。
それが、
その「精子(遺伝子)の乗り物」である「男」を駆り立てる原動力となり、
際限の無い「もっと」を求め続けさせる。
女性に限らず、お金、車、地位、名誉への「もっと」を求めさせる。
が、それは「精子」が求めることであり、
その運び役である「男」にとっては、無限の徒労に過ぎない。
なにしろ、遺伝子が企んでいる「より多くの子孫を残す」という目的の、
それを達成するための「手段」を続けさせれているだけ、なのだから。
(もちろん、
「女」も「卵子」の運び役として遺伝子の目的のために動かされる)
では、
その運び役の「男」である「わたし」は、何を目的にすれば好いのか?
この本は、ここでようやく「それが自分探しの入り口だ」と説く。
とにかく、とても上手くまとめられている本だと思う。
この本に書かれている事は、
20世紀までの「人類の思考史」の粋であって、
今を生きる私達にとっての「最低限の参考書」であるとすら言える。
この本に書かれている事を意識せずに、
明日を、恋愛を、夢を、そしてなにより「幸福」を語る事は無茶だ。
「男のための」と書かれているけれど、
これは是非とも女性にも読んでもらいたい。
貴女の「卵子」に幸福をもたらしてくれる「精子」の選び方が書かれてる。
ところで、
著者の「伊藤健太郎」さんは、「科学哲学」を専攻した人だそうですね。
で、「科学哲学」ってなんだろう?と思って調べてみたら、
このページがとっても面白かった。
こういう学問もあったんだなぁ、と、なんか羨ましく思った次第。
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コメント
はじめまして。あなきんと申します。書評を頂き、どうも有難うございました。
いろいろな方のレビューを拝見して、いつも思うのですが、読書家の方は、著者の言いたいことを、ズバリ当てておられて、しかも著者より上手に分かりやすく表現することに長けておられるように感じます。
私の下手な文章から、ここまで私の主張をくみ取って短くまとめて頂きますと、感動すら覚えます。
他の方の書評と一緒に、当方のブログ『愛と哲学の自分探し』に紹介させて頂きました。どうも有難うございました。
投稿: あなきん | 2008/09/10 15:49
あなきんさん、コメントありがとうございます。
まあ、読み手なんてのは、
「なんとか自分なりの解釈」をしてみたくて、
そして活字の中を彷徨うのが病でありまして(笑)
なれど、心のどこかで、
「私には書けないんだけどね。。。」
と言い訳しているのだと思います。
ブログは、本を手にしてすぐに拝見しましたが、
私のところからではちょっと重いのと、
ユニークなリンクが多くて、えっと、微笑ましいですね。
http://tetugakuboya.cocolog-nifty.com/test/
投稿: みかん星人 | 2008/09/11 13:51
はじめまして!
みかん星人様
jibun354と申します。
私も『男のための自分探し』読みました!
途中から哲学的な内容になって、自分には少し難しいように感じましたが、大事な事が書かれていると思います。
他の人はどんな読み方をしているのか、興味があるので、『男の~』書評をまとめたブログを作ってみました。
http://d.hatena.ne.jp/jibun354/20081031/1225439477
にて紹介させていただいたので、どうぞ来ていただければと思います。
投稿: jibun354 | 2008/10/31 16:55
jibun354さん、コメントありがとうございます。
また、面白いブログへのご招待、ありがとうございます。
TBも公開いたしました。
これからもよろしくお願いします。
投稿: みかん星人 | 2008/11/02 22:42