沢木順 ミュージカルセミナー
「ロンドン・ニューヨークから来たミュージカルに
メインキャストとして一番多く出演したと言われる男」
こと、沢木順さんの『ミュージカルセミナー』に参加しました。
会場は赤坂にある区民センターで、なかなか立派なもの。
なんと、1万円で午後のホールが借りられてしまうのだ。
しかも、
置いてあるピアノは、なんと「ベーゼンドルファー」という贅沢さ。
さて、そのホールに、定刻よりやや早く、沢木さん登場です。
早めに登場して客席を歩き回る沢木さんは、
「こうしてお客さんをみて、セミナーの内容を決める」
と言っていましたが、会場を温めるには最善ですね。
沢木さん自ら「遺言として全部教える」と豪語して始まったセミナー。
なにしろ「プロ・セミプロ対象」のセミナーなのです!
どんな「沢木順テクニック」が聞けるのか、、、わくわくです。
「感動のある声」を出してみよう。
まずは「感動のある声」を出してみようというお話。
そもそも、日本人は落ち着いて話すことを美徳とする文化があり、
感情にまかせて声を出すことが余り無い。
だから歌う時にも「喋る時の言葉・発声」で歌ってしまう。
けれど、それでは、人に感動を届ける事はできない。
そこで「3億円が当たった」という喜びと共に声を出して、
声に、思いっきり「感動」を乗せてみる実習をしました。
なにしろ、その「感動」無しでは歌えないのです。
「音程」には幅があるのです。
大袈裟に言うと、歌には「音階」が無いそうです。
歌っているときに、階段の様に音程に従って歌っていては、
「ミュージカルの歌唱」としてはダメなのだそうです。
物語を伝える「ミュージカルの歌唱」では、
「歌」では無く「心理」が観客に届かなければ意味が無い。
だから、音階に縛られずに歌う工夫をすると良いとのこと。
「リズム」が狂うと「ノリ」が生まれる。
「リズム」もまた「音程」と同じように狂わせ、ずらす事がポイント。
特に1拍目の長さをどう捕えるかで、ノリが変ってくる。
(この「ノリ」の説明を浅利氏に求められたエピソードが面白かった)
「役」を演じるのに必要なこと。
ミュージカルの「役」には、「歌手」という役はほとんど無い。
けれど「歌」でその「(歌手では無い)役」を表現しなければならない。
そのためには「心の動き」を意識することが必要。
むしろ、「心の動き」があるからそれが「歌」になるのだし、
「心の動き」が見える事で、「役」にリアリティーが出てくる。
(この辺りの事は、みかん星人がずっと書いてきた事なのですごく納得)
ここで『シェルブールの雨傘』の一場面を、
お客さんからのリクエストで演じあげるパフォーマンス。
まさに「役」が構築される様子を見られて、とても面白かった。
その「役」のリアリティーを追求するとなると、
物事の限界を経験して、それを舞台の上に乗せることが必要。
でも、誰もが「限界」を経験できるわけでは無い。
そこで、それを補うのが「知識」なのだ、とのこと。
(この辺りも、大いに納得させて貰いました)
正しく立とう!
総ては正しい立ち方から!
と、言うわけで、聴講生も全員立って「正しく立つ」事を経験。
「ダンス」だって心理が大切。
「演技」や「歌」ばかりではなく、
「ダンス」にも「心の動き」が先に無ければ、無意味になる。
「心が見える動き」をする事で観客を魅了することができるそうです。
舞台で最も大切な事は「台詞が聞き取れる」事!
まさに「母音法」のお話だったり、日本語の特徴のお話だったり。
つまり、日本語は4拍子なので、
そこにしっかりと母音を乗せれば伝わるのだ、という事。
結局、最後は「言葉」が大事!
まとめてみると、あらゆる事を「言葉にする努力」こそが大切。
「心の動き」、「音程の幅による表現」、「ダンスの意味」、、、
すべてを徹底的に「言葉」にしてみる。
「言葉では言い表せない」ようでは、芸術は語れないのだそうです。
(過日、写真家の浅井慎平氏が、芸術写真に関して全く同じ事を書いていた)
こうして、怒涛のような90分のセミナーは終了しました。
途中にも書きましたが、
ミュージカルに限らず、あらゆる場面でみかん星人が感じていたことが、
沢木さんの経験と表現で見事に説明されて、とても素晴らしい経験になった。
本当なら、セミナー4時間、コンサート3時間をしたいのだそうで、
でも、お客さんがバテてしまうから難しいそうです。
(そんなときでも、沢木さん一人がピンピンしているとか・・・さすがだ)
機会があったら、また参加したい、素晴らしい時間でした。
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コメント
>lecheさん。
やはり、そんな感じで「実習」を多く織り込んで、
実践的に深めてゆくセミナーなんですねぇ。。。
うーん、プロを目指すわけでは無いので
「ダメ出し」受けても勿体無いのですが(笑)
そこで聞ける「伝えたい事」を聞きたい。。。
投稿: みかん星人 | 2008年10月 1日 (水) 午前 08時04分
相手がプロ目指す側になればなるほど厳しくなります!(当たり前か
)
セミナー中、何かを歌ってみて!と指名されたら即歌わないと「ハイ、駄目
」みたいな……プロ目指すならすぐ対応できるようにしてないといけないって!
セミプロってことでしたが、お客さまのほとんどが素人だったからあまり厳しくはなかったからね。
でも、ミュージカルのテーマとか伝えたいことが多い人なので、コンサートなんかでもトークが時々セミナー風になってたりします。
投稿: leche | 2008年9月30日 (火) 午後 01時08分
lecheさん、コメントありがとうございます。
セミナーに初参加しました。
沢木さんの、舞台への情熱、
そして「伝えたい」という情熱の強さを感じる事ができました。
沢木さんも冒頭で話していましたが、
あのセミナーは「日常」にもとても有意義ですねぇ。
でも、もっと凄い「プロ専用セミナー」も参加してみたいなぁ。。。
投稿: みかん星人 | 2008年9月29日 (月) 午後 09時34分
セミナーに参加されていたのですね。沢木さんの話されていたことを簡潔に解りやすくまとめられていて凄い!と思いながら読ませていただきました。
また、ハイタカさん上手く繋がりができればきっとセミナーしてくださいますよ!
一般に向けてとは違いかなり厳しい指導かもしれませんが……
投稿: leche | 2008年9月28日 (日) 午後 02時00分
ハイタカさん、コメントありがとう。
たぶん、私のような聞きかじり者よりも、
パフォーミングに関しての知識や経験がある人ほど、
あのセミナーは有意義なのだと思います。
ハイタカさんの力で、
沢木さんを招聘してみてはいかがでしょう?
投稿: みかん星人 | 2008年9月28日 (日) 午前 09時49分
うわ!!流し読みできない!!
木・金と、パントマイム講習会を受けていて、そのいろんなことが・・・リンクする!!ゆっくり読みにきます!!
投稿: ハイタカ | 2008年9月27日 (土) 午前 09時41分