『スカイ・クロラ』
今年、最も期待していた映画を、大満足で観てきた。
最も敬愛する小説家、森博嗣氏の原作を、
これまた大好きな映像作家、押井守氏が映画にした『スカイ・クロラ』。
この「物語」に関しては、書き出すとキリがないきがするし、
いやいや、なにも書けないようにも思うから、
ともかく「映画」の中の「映像等」の部分にだけ関しての記事になります。
なんといっても「音」だ!
この映画の最大の魅力は、映像でも、幾通りにも読める物語でも無く、
数々の記憶と日常に結びつく「音」のリアルさだと思う。
歩く時の靴音、そして床の軋む音、
ドアの前に立ち止まり、或いは立ち止まらずに、そして開かれるドアの音。
絶えず聞こえる「空気」が動く時のあらゆる音。
小説を読んでいるときには思い至らないこれらの音が、
小説にあるのと同じ台詞の背景として登場し、
小説には無かった別の「奥行き」を与える。
「奥行き」という意味では、置かれた備品の数々も、
これが「この星」の物語なのを教えてくれる。
どこか「パラレルワールド」のような、もちろんそうなんだけど、この舞台に、
知っている美術品、とりわけ何度も出るガレの作品(特にベッド!)があることで、
「いま映画を観ている自分」との距離を感じられる。
カメラワーク、特に空に上がってからのカメラの視線が素敵だった。
まるで自分がその場にいて観ているようなカメラの動き。
そして、そのカメラとすれ違う物体が残す音、時に質感、これが凄い。
(さすがスカイウォーカー・サウンドだなぁ。。。)
平面的な地上の描写も、ちょっと意味深で面白い。
どのみち、自分以外の「人」なんて、見た目と言葉と行動様式でしか測れないし、
(まあ、それは、自分に関しても同じなんだけれどね)
もう一点、声優さんに関しても書いておこう。
最近は「声優」を使わない映画(特に吹替)が多いように感じるけれど、
押井監督は、比較的「声優」を使う監督だと思っていた。
しかし、今回は声優ではない俳優が多く起用されているのも面白い。
(ちなみに、みかん星人も、最近の「声優」のにリアリティーを感じない)
最もハマっていたのは土岐野(トキノ)をあてた谷原章介氏だ。
もともと小説だから、容姿も想像の中だった土岐野だけれど、
その姿も声も、まさに「読んでイメージしていた通り」で驚いた。
「容姿」が想像通りなのは、草薙(クサナギ)だが、声はちょっと違っていた。
ただ、彼女の資質を考えると、妙な生カタさのある声は、似合いなのかも。
(どうやら、監督がかなりほれ込んだ声らしい)
実は、みかん星人の頭の中で「クサナギスイト」をあてていたのは、
この映画で笹倉(ササクラ)を演じていた榊原良子さんなのだ(笑)
榊原さんは、監督の『イノセンス』でも登場していたけれど、
「パトレイバー・シリーズ」の「しのぶさん」だったり、
『風の谷のナウシカ』の「クシャナ姫」や「ガンダム」の「ハマーン」で<をたく?
あの凛として、やや鼻に掛かった声は、まさに「スイト」だったのだけど。。。
そう、原作ともの凄く違うのは、榊原さんが演じた「ササクラ」で、
映画ではなんと女性になっていて驚いた。
驚いたと言えば(笑)、プログラムを読んで知ったのだけれど、
我がファースト・ヒロイン「アンヌ隊員」こと「ひし美ゆり子」さんが出てたのね!
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