『対決 巨匠たちの日本美術』 @ 東京国立美術館
最も楽しみだった「本阿弥光悦」の作品は、
楽茶碗の祖である「長次郎」と対決させられていて、
文化が集中した「茶道」の急峻な昇華を思い知らされた。
大まかに言って100年、すごく絞って考えて50年ほどの間に、
「茶碗」の可能性が一気に広がったのを目のあたりに。
「光悦」にとって、しかし、茶碗は、その手腕の一部に過ぎないのだけど、
最後には、ついに、待ちに待った『舟橋蒔絵硯箱』が登場していた。
なにしろ「東京国立博物館」が所蔵しているのだから、見せたかったのかも(笑)
と思いつつ、それが置かれたケースの周囲をぐるぐると回ると、
目に入ってくる次の対決の一方の雄は「尾形光琳」。
みかん星人としては、是非とも、
「本阿弥光悦 vs. 尾形光琳&尾形乾山」をお願いしたかったけれど、
隣り合わせだったので、まあ満足。
ところが、
この「尾形光琳」と、対する「俵屋宗達」の対決が、面白くなかった。
その一番の原因は、
最初に掲げられている「対決」の内容を書いたパネルの文章。
これが、なんだかごちゃごちゃしていて、読んでも理解できなかった(笑)
それと、宗達の『風神雷神図屏風』は後半の公開だそうで、残念。
展覧会の場で「なるほど対決」と唸らせてくれたのは、
「野々村仁清」と「尾形乾山」の対決。
ここに置かれていた陶器は、実に素晴らしいもので、何度も往復して眺めた。
特に乾山の『色絵紅葉図透彫反鉢』は「ここ」という鑑賞ポイントにはまると、
周りの雑音が一気に消えてしまうほどの凄さ。
ここでの対決方法もまた上々で、
各々の小ぶりな茶碗と香合をひとつのケースに納めて見比べさせる。
「乾山の梅越しに見る仁清の鶴」という景色が素晴らしい。
よく絞り込んである展示で、半分ほどの対決は、その対峙を満喫できた。
そして更にその興奮を高めてくれたのが、500円で貸し出される音声ガイド。
なんと、この音声ガイド、喋っているのが有名な声優達なのだ!
先にあげた「長次郎 vs.光悦」では、長次郎の解説を槇大輔氏、
一方の光悦を中村正氏が担当で、まさに「侘び」と「燻し銀」の対決そのもの。
他にも、飯塚昭三vs古川登志夫(雪舟vs雪村)、
野沢那智vs羽佐間道夫(歌麿vs写楽)という見事な組み合わせ。
これ、カタログにCDで添付して欲しかったなぁ。
平成20年7月8日から8月17日までの短い期間ですが、
これだけの美術品を見比べられる機会はそうないと思いますよ!
行くときには、博物館に到着する前に、入場券を買っておきましょう。
この東京国立美術館は、入場券を買うための行列が、凄いのです(笑)
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コメント
ハイタカさん、コメントありがとう。
「若冲vs蕭白」ですかぁ。。。疲れる対決でした(笑)
なんか「私を見ろ!いやいや俺を見ろ!」って言い合っているいる感じで。
「爛熟」している場所でしたね
「風神雷神」は、ハイタカさんのために、別に記事をたてました。
というか、あの対決、本当に凄いのだと、それぞれに記事を書きたくなりますね。
若かったら、書いていただろうなぁ・・・・
投稿: みかん星人 | 2008年8月14日 (木) 午後 06時50分
というわけで・・・みかん星人さんに煽られていってまいりましたよ~(きっかけにはなってますがもともと行く予定でした)
とにかく若冲と蕭白さんにやられてしまい・・・もう本を買いまくっています。
面白い!!
行ってよかった~~で・・・風神・雷神みたかったです(TT)
投稿: ハイタカ | 2008年8月13日 (水) 午後 05時58分