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2008年3月17日 (月)

『クンドゥン』

いま、ぜひとももう一度観たい映画が『クンドゥン』です。
恵比寿の映画館の(望んで)最前列で見ましたが、
独特の重低音と、不思議な文化と、凶暴な政治に圧倒されました。
すっかり魅了されて、
ダライラマ14世の講演を聴きに行ったり、チベット舞踊を鑑賞にいったものです。

映画の感想を書いてあった気がしましたが、
どうやら、前世紀の文化、ニフの映画フォーラムに書いてあったようです。
もう、10年も前に制作された映画ですが、
内容がますます今日的になっているのが悔しいこと。

これは劇場で観てはいませんが、
セブン・イヤーズ・イン・チベット』も、いま、観ておきたいですね。

タイトルの「クンドゥンKundun」とは「法王猊下(げいか)」のこと。
「猊下」の意味は、辞書やネットで調べていただくとして(笑)
主人公「猊下」は、チベットのダライラマ14世(The 14th Dalai Lama Of Tibet )。
ダライラマに関しても、こちらやmixiのここを読んでください。

ダライラマ13世が逝去し14世を探し出して即位(1939年)するまでが「起」の部分。
それを継「承」して描かれるのが当事(1940年代)のチベットの状況。
『セブン・イヤーズ・イン・チベット』も概ねこの時代で、似たようなエピソードもある。
世界情勢としては平穏とは言えなかったこの時代だけど、
チベットは「非暴力」の立場を貫いていた。
けれど、1949年には東隣に「中華人民共和国」が成立し、
1950年には「チベットの抑圧された民族を解放する」として人民解放軍が侵攻してくる。
その侵攻が映画の折り返し点となり「転」で描かれるのがチベットと中国の対立。
そして「結」を通して、現在も続くダライラマ14世の亡命が描かれる。

大変に面白いのが、「ダライラマ14世」を発見し確認する場面。
その後も何度が「転生」を証する場面があるけれど、
(その信憑性はともかく)文化としてそれを大切にしている様子が興味深い。
2歳で見出された「ハモ」という名の男の子の様子も可愛く、そして愛しい。
彼は、4歳で即位し、大きな期待を背負わされて、「母性」に甘える時間も少なく、
それでも真面目に育つあたりができ過ぎの感もあるけれど、
実際のダライラマ14世の言動をみていると、
人が「育つ」というものに必要な環境がどういうものなのかを考えてしまう。

そんなダライラマ14世が観る「幻覚」は、彼の自伝にも記述があるが、
なんとも衝撃的で、恐ろしい。

監督は、『最後の誘惑』という映画でも「宗教家の人生」を見事に描いたスコセッシ。
この映画に関するインタビューで、
「宗教によって自分を律している人間を描く事で、人間とは何か?を考えて欲しい」
と話しているが、この映画でそれを強烈に問い掛けていた。
暴力を振るう人間を前にして、慈悲と愛情をもって対応する様子に、
「人間は、なにを求めて生きるべきなのか?」を考えさせられる。
やはり、こういった「社会の大波」に翻弄されながらも、
「私」を強く意識する人間を描かせると、スコセッシは本当に上手い。
 (そういう意味でも『ディパーテッド』は物足りなかったthink)

その宗教家・ダライラマ14世の青年期を演じたのが、
「テンジン トゥタブ ツァロン」というインドで育ったチベット人で、
なんと、ダライラマ14世の兄弟の孫に当たる人だとか。

後半、時の中華人民共和国の主席・毛沢東との対談がでてくる。
 (この毛沢東が、実に上手い!)
この場面での毛沢東の「宗教」に関する言葉は的を射ていると思うし、
同時に、ダライラマにとっての「宗教」が、
毛沢東(世間一般?の)言う「宗教」とは異なることがよく解る。

この後、ダライラマはチベットに侵攻している人民解放軍の将軍に対して、
智恵と慈悲が人間を解放する」と言い、
また、亡命中のモノローグの中で、
人は真理の教えを経て悟りに到達する。その真理とは究極の現実のこと
とも語る。
映画の中のどの台詞も、重みのある、考えさせられる言葉ばかりだ。

いま、この世界で起きている「現実」を理解するためにも、ぜひ観ておきたい映画です。

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