『ライト イン ザ ピアッツァ』 @ ル テアトル銀座
2005年の「トニー賞」を6つの部門で受賞したミュージカル、
『The Light in the Piazza』(広場の光明(笑))を観てきました。
もちろん「トニー賞受賞作品を観たい」というのが動機で、
そして改めて「トニー賞って凄いなぁ」と感じる舞台でありました。
この作品が受賞したのは、
『最優秀楽曲賞』『最優秀主演女優賞』『最優秀編曲賞』
『最優秀装置デザイン賞』『最優秀衣装デザイン賞』『最優秀照明デザイン賞』で、
そして、この受賞した部分だけは、本当に魅力的でした。
(似たような受賞内容の作品に『アイーダ』がありますね(笑))
「観て損の無いミュージカル」である事は間違いない。
ですが、誰にでも薦められる舞台でも無いとは思う。
まず、華やかさが無い(笑)
それに、物語が「ストレート・プレイ」並に小難しくて、軽快ではない。
なにより、楽曲がとっても複雑で、印象的ではあるものの手強い。
ですが、ミュージカル・プレイの本質、即ち、
「心象がメロディーとなって表現され、そのメロディーの共有を享受する」
事が大好きな人にとっては、実に魅力的で、奥深いものです。
原作が書かれたのが約半世紀前。
50年前には斬新だった(というか絶望的だった)テーマは、
21世紀の今では「問題無い」という程では無いにしても「光明」がある事柄。
なので、終始「何を今更」という匂いがして、物語にのめり込めないのが辛い。
ただ、設定が大変に面白い。
舞台は「フィレンツェ」なので、イタリア人として登場する人は「イタリア語」の台詞!
英語の台詞は日本語になっているので、
「イタリア人が話す片言の英語」が、とても妙な日本語になっていて笑える。
そして、複雑なメロディーも、どこか「アメリカ人が聞くイタリア語」の様だっりして、
不思議な抑揚をまとっている。
実際、余りにも不思議なメロディーなので、
「小西くんって、音が取れてない?」なんて思ってしまう場面が何度か(笑)
でも、似たような旋律をシルビアさんも同じように歌うので、納得したり(爆)
そんなこんなで、
イタリアで混乱しているアメリカ人と同じな気分で一幕を観終えて、
少し休憩してから二幕を観ているうちに、はたと気がつくわけです。
「これは、歌詞や物語を追うのではなく、メロディーに酔う舞台なのだ」
という事に(笑)
耳馴染みの無い言語が醸し出す旋律が、この舞台のメロディーなのです。
さて、アメリカ人親娘を演じたのは、
島田歌穂さんと新妻聖子さんという「二人のエポニーヌ」で、やはりお上手。
少しパワーが出きってない感じがあったけれど、
それも慣れない環境にいる様子を表しているのかもしれない。
一方、
物凄く元気で魅力的だったのが、イタリア人実業家を演じた鈴木綜馬さん。
台詞の通りも良く「さすが」の存在感でしたね。
存在感は強烈なものの、あまり活躍しないのがシルビアさん。。。もったいない。
この舞台で、最も魅力的だったのは、「舞台」そのものかもしれない。
オケピが、舞台の真ん中(やや後方)にあって、
その周囲が「回廊」の役目もしていて、実に変幻自在。
さらに、その変幻を明確にするのが巧みな「照明」。
同じ場所を「屋内」と「屋外」とに照明だけで描き分けるのが実に上手い。
創意工夫に富んだ舞台を観たいのでしたら、ぜひご覧あれ!
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コメント
なおさん、コメントありがとう。
小西くん、苦戦してましたね。。。。
マリウスでは感情表現がなかなか大変そうでしたけれど、
この舞台では「それどころではない」という雰囲気でした。
(そーいえばレミゼ系の役者さんが多かったのかな?)
http://blog.livedoor.jp/saintlake/archives/64917581.html
CDですかぁ。。。
『モーツアルト!』のCDを聴いて、留まるのが大変なのに(笑)
短い公演で良かった、、、というか、再演を楽しみにしたい舞台ですね。
ところで、、、マーガレットの躊躇にも時代を感じましたが、
ナッカレリ父さんの「理由」にも笑うと言うか驚きましたね。
で、あれってのは、額面通りに受取るべきなんでしょうかねぇ。。。
クララが書いた文字を見て、婉曲して表現した。。。。のが本当のところなんでしょうかね。
ああ、、、原作を読むという罠が、また。。。
投稿: みかん星人 | 2007年12月14日 (金) 午後 07時30分
みかん星人さま こんばんは。
たまに書込みさせて頂いている なおです。私も観ました。
想像以上に良い舞台でした。
歌を聞くだけでも良いかな。と思ってたら、演技も脚本もセットも凄く良かったです。
マーガレットが何故あんなに躊躇してるのかも、50年前の脚本と聞いたら納得です(ACLみたいなものですね)
逆に音響がイマイチの会場とファブリッツィオの歌唱力が残念です(演技は申し分なかったのですが、あの上手すぎる人達に囲まれると・・・)
これだけ豪華な顔ぶれなのに、13公演なのはやっぱり一般的に受けないからでしょうか?
もしお時間があればCDを聞いての再観劇もお勧めです。
音だけで、舞台が再現されるCDでしたよ。
投稿: なお | 2007年12月13日 (木) 午前 04時44分