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2007年11月25日 (日)

今日の、福井晶一くん @ 『鹿鳴館』千穐楽

大好きな「自由劇場」に、三度も掛かった再再演の『鹿鳴館』。
みかん星人は、どうしたわけだか「初日」と「千穐楽」を観てしまいました。

千穐楽を観に行った理由は、もちろん「福井久雄」をみるためです。

正直、ものすごく、心底、驚きました。
福井くんの久雄が、あまりにも上手くなっていたからです。
「上手い」というよりも、「リアル」というべきかもしれません。
どんなに時代が変わっても、
「社会」を感じ、「恋」を感じ、「自我」を感じ始めたハイティーンの男の子は、
不安定な自我もあり、社会での自分の位置と男としての自分の価値が解らず、
取り止めの無い不安の中で、焦りとも苛立ちともつかない状況にいるものです。
その「焦りとも苛立ちともつかない感情の中で自分をもてあましている」風情が、
此度の福井久雄には充満しているのです。

最も変ったと感じたのは、声の調子の変化、抑揚の変化でしょう。
前回の福井久雄は、どことなく一本調子で、
それは「警戒心」とか「緊張感」にも見えましたが、どこか不自然でした。
が、例えば(形ばかりに)父を褒める時の早口や嘲笑、
秘密を打ち明けようとする朝子に向き合うときの上擦った感嘆、
そして、慕情を打ち消すときの悔しさと戸惑いがもたらす強張った声。
どれもが見事な「芝居」で、ゆえに「芝居」を感じさせないレベルになっていました。

二幕の「女にすぎん」と揶揄される福井久雄も、これまた上手く、
伯爵の教唆にあおられ武器を手にするその様子に、
みかん星人は思わず手に汗を握ってしまったほどでした。

全体的に『アイーダ』の「アムネリスの寝室」での芝居に近いものがあり、
福井くんは、あのラダメスの覚醒の中に、久雄の気持ちを見出したのかもしれません。
ともかく、本当に福井くんは、何か大きな演技開眼を経験したように感じます。

この日の日下さんは、今まで拝見した伯爵の中で最も緊張感に溢れていて、
台詞の一つ一つに込められたニュアンスが明確に伝わって来ました。
やはり天下の名優だと感じましたし、改めて「本物の芝居」を観た思いです。

さて。。。やはり「福井久雄のスペシャリスト」にも語っていただきましょう。。。(笑)

11月7日から千穐楽まで、14公演を久雄として生きた福井くん。
その半分も観られませんでしたが、ラスト・スリー公演を堪能でき、
至福のひと時でありました。

今回は、1幕の久雄さんが良かったです。
1幕は、あまり動く場面が無い代わりに、
言葉の抑揚や表情で感情を表わさなければならないので、演技力が求められます。
前回はどちらかというと2幕の久雄さんの方が好きでしたが、
今回は断然1幕の久雄さんの方が良かったです。
成長したねェ~福井くん。

それに、きのうよりも今日、今日より明日、と、
観るたびに存在感のある好青年になってました。
特に今日の1幕での
“あきこさんのことは、思い出させないでください!”は、
いつになく力がはいっていて、
あきこさんへの思いを無理にでも断ち切ろうという意志を感じました。

ほんと、とってもすてきな久雄さんになってた福井くん。
まだまだ、福井くんの久雄さんを観たかったな。。。

あと、本日は原作者の命日にあたるということで、
特別カテコでした。
なんと、舞台に二人の久雄さんが!
なかなか観られないツーショット?で、
しかももう一人の久雄さん、田邊くんがMCにもかかわらず2回もカムし、
ほんと、おいしいカテコでした。

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