『ウィキッド』雑感
この記事は、『ウィキッド』を既に観た方だけが読んでください。
内容に踏み込んでいるという事もありますが、
幾つかの疑問を書いてますので、観劇の印象を悪くするかと思います。
また、今の『ウィキッド』に大満足の方も、お戻りください(笑)
べつに、貶している記事ではありませんけれど(*^^)
さて。。。
短縮版ではあるものの、既にUSJで上演されているにも関わらず、
「日本解禁」というセンセーショナルな宣伝をしていましたが、
いざ、全編が「日本語」になって公開されると、「なるほど解禁か」と感じました。
というか、USJ版の『ウィケッド』は、
あれはあれなりに完成していたんだなぁ、、、と納得したり(笑)
ここででも書きましたが、登場人物を絞り込んだのが良かった。
CDでオリジナルの歌をかなり聴きこんでいましたけれど、
日本語で内容が判ってみると、随分と印象が変わります。
いきなり、
「The wicked's lives are lonely≒ウィキッドの人生は孤独だった」が、
「誰にも愛されなかった」と訳されていたのには驚きました。
「孤独でいる」のと「愛されなかった」はかなり違う気がします。
『No good deed(悪行?(笑))』という歌が、実は呪文なのにも驚いたり(笑)
全体に上手く日本語になっている気がしますが、
日本語に変換されていない言葉(単語)が、実は、気になるところ。
『Popular』がそのままなのは残念ですが、まあ仕方ないとして、
『A sentimental man』のsentimentalぐらいは訳して欲しかったし、
『Wonderful』も、そのままじゃなくて「素敵なことさ!」なんて唄ってほしいもの。
それから、プログラムの楽曲紹介ページに邦題が無いんです、まだ。
「子どもから楽しめるミュージカル」であるなら、ぜひとも邦題を付けてほしい。
(大人のミュージカル『アイーダ』ですら全曲に邦題があります。
尤も、今時のお子様は英語が堪能だったりするのかな?冗談ではなく)
一幕最後の翻訳は、もっともっと練ったほうが良いと思う。
二度観ましたが、どうも『Defying Gravity』はいまひとつ感動できません。
『カレッタ・エメラルドファンタジー』での『Defying Gravity』には凄く感動しましたし、
トニー賞授賞式でのパフォーマンスだってテレビなのに大感動。
USJのクライマックスでは泣きそうでしたからね、、、45歳の私が(笑)
日本語になった『Defying Gravity』に冷めてしまうのは、悲しいところ。
(余談ですが、トニー賞でのパフォーマンスをみると仕掛が分かります(爆))
役者さん達は、実に素晴らしいパフォーマンスでした。
上に書いた『Defying Gravity』での濱田エルファバは、歌唱においては充分。
『No good deed』は、多分『李香蘭』の経験が生かされているのでしょう、圧巻です。
(ここでエルファバが自分を「ウィキッド」と呼ぶ瞬間が凄い。。。)
このミュージカルで、最もミュージカルらしい楽曲であり場面である『Popular』は、
そして最も難しいと思っていたのですが、、、沼尾グリンダは可愛かった。
(この衣装の時の彼女の立ち姿があまり美しくないのが、なんだか残念)
最後に手鏡を覗きこんでの一瞬が、実に、グリンダの「Wicked」なんですよ。。。
逆に、フィエロは本当に難しい役どころだと、観て改めて思いました。
確かに李フィエロは健闘していますが、私としては、もう少し身長を望みたい(笑)
だって、やっぱり少女マンガのヒーローは、見上げるぐらい大きくないとダメです。
そういう意味で、阿久津フィエロが楽しみなおぢさん。。。福井くんには、無理だなぁ。
さて、、、これからは、更に物語に踏み込みます。。。
疑問なのは、「ぢゃあ、誰がホンモノの魔法を使えるのか?」という事。
『魔法の書(Grimmerie?)』を読めれば、誰でも魔法を使えるのかしら?
後に、東の魔女(と呼ばれる)ネッサローズにもできたわけですから。
でも、モリブルが得意な「天気を左右する魔法」は、どうなんでしょう?
(この伏線が竜巻に繋がるってのが面白い・・・)
そう、モリブルが雨を晴らしますけれど、
これが「エルファバが水に弱い」という事の伏線?というか、
それが「誤った噂の流布であると解る伏線」になっているのでしょう。
それにしても「水で溶ける」のだったら、シャワーも浴びられないのね。。。
映画のエルファバって、、、なんか、本当に怖いわ。。。
映画との対比で注目したいのが「靴」。
原作では「銀」、舞台でも最初に登場するときには「銀」ですが、
これ、二幕、エルファバの魔法で赤(ルビー)色になってましたか?<記憶なし
あそこでエルファバが掛ける魔法は、ネッサの脚を治すものではなくて、
「靴が脚の替わりをする」という魔法なんですよね。。。
で、だから、ドロシーをカンザスに還す力ももっている。
その靴に恐ろしいほどの執着を見せるエルファバですが、
あの靴こそが「父の愛」の象徴だと思っていたのでしょう。
そのドロシーを閉じ込めて、遂には水を掛けられるあの場所は、
フィエロが言い残して行った「ぼくの一族の城」なんでしょうか?
エルファバは、だからあの場所(映画では城)にいたのかな。
それにしても、この舞台は、映画に対して不可逆な存在でした。
この舞台を一度観てしまうと、映画の「東の魔女」に同情してしまうし、
案山子とエルファバが対峙する場面に複雑な思いを感じてしまうし。。。
オズ大王なんて、ほーんとにちゃらんぽらんに見えてきます(笑)
・・・あ、そういう意味では、早く栗原オズを観てみたいですなぁ。
なかなか言い出せない疑問、というか「謎」ですが、、、ポスターの事。
「グリンダはエルファバに何を囁いているのか?」ですね。
これ、もしかしたら、
「エルファバって、水が掛かると溶けちゃうって噂を流すからね」
なんて言っているのかもしれないなぁ。。。だとすると、また面白く見えてくる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
hitomiさん、コメントありがとう。
USJでの『ウィケッド』は、まだ続いていますよ。
http://www.usj.co.jp/studioguide/attraction/wicked.html
ここでは「ツアー」を利用すると、良い席で観られます!
(今思っても、『ウィケッド』は良くできています・・・)
四季のパンフ、というかプログラムって、高いですか?
東宝に比べると安い気もしますけど。。。
(まあ、内容を考えてのコストパフォーマンスは悪いかも・・・)
今年のトニー賞も面白かったてすね。。。
日本でも、あんな感じのエンターテインメント・ショーをすれば良いのになぁ。
投稿: みかん星人 | 2007年9月25日 (火) 午後 11時00分
同じのが2回行ってしまい申し訳ありません。削除お願いします。
USJ版もご覧になっていらしゃるのですね。大体そこには1度も行った事が無いのです。行きたくなりました。今はもうやっていないのですね。
すぐネットでトニー賞受賞式も見られるようになり便利なことですね。
投稿: hitomi | 2007年9月23日 (日) 午後 03時43分
TB有難うございました。なかなか難しい話ですね。皆さんの記事読んでると、やっとこうなんだとか分かってきました。四季のパンフは高いので買ってないのでますます分かりません。トニー賞の録画もどこかにあるのですが。
配役は20日と同じです。前日の2時20分頃かけたらすぐつながりました。前日予約は初めてです。
投稿: hitomi | 2007年9月23日 (日) 午後 03時33分
>ク~ミンさん
その後、女の子な気分になって(<無理)考えてみましたが、
この「wicked」に込められた感情って、ものすごく深いんでしょうね。。。
例えば、映画『恋におちたシェークスピア』で、
快楽を知ったヴィオラ(パルトロー)が朝を迎える場面がありましたが、
あの時の「しあわせ」という感覚にも近いのかもしれません。
つくづく、ガーリー・ミュージカルだと思います>ウィキッド
ムファサだと、それこそこの『As long as You're mine』の場面で、
違う登場をしなければならなくなります(笑)
投稿: みかん星人 | 2007年6月29日 (金) 午後 09時25分
みかん星人さん、再びこんばんは。
「自分がこんなにわがままだなんて知らなかった」
これ、とっても素敵なセリフだと思います。
私もこんな風に訳してほしかったですよ。
今のは意訳になるのですね。
ずっと気になっていたのですが、すっきりしました。
ありがとうございます。
それと、シンバ役・・・ムファサじゃだめですか?(笑)
もっともお稽古だけのようでしたが・・・(^^;
投稿: ク~ミン | 2007年6月29日 (金) 午前 12時17分
ク~ミンさん、お待ちしておりました(*^^)
「邦題」があると、こういう記事が書きやすいのもありますが(笑)
なにより、カンパニーがそこで何を表現しようとしているのかが伝わってきますよね。
『アイーダ』は、この辺りでも成功していると思うのです。
》「I feel wicked」が「幸せ・・・」と訳されている
そう、、、これも微妙だけれど重要な部分ですね。
原文のニュアンスとしては、
「望みを叶えるために友達を裏切った自分に驚いている」
といったところでしょうね、、、そこから意訳すると、
「自分のしたい事をしてしまった」→「これって嬉しいことなんだ」
で、「生まれて初めて幸せを感じている」って事、、、ですかね(笑)
こんなところで健全四季体質を出しても仕方ないと思うのですが(笑)
「自分がこんなにわがままだなんて知らなかった」
なんて翻訳の方が、その後の展開が楽になった気がします。
実際、この直後にグリンダと喧嘩しますが、
それはここで感じた「wicked」が原動力のはずなんですよね。。。
福井くんにシンバの経験があれば、賛同するのですが(*^^)
「オズ役」で出てくるって事は、、、無いですかね(笑)
投稿: みかん星人 | 2007年6月28日 (木) 午前 12時24分
佐藤知夏さん、コメントありがとう。
仕掛、、、解っちゃいましたか?
USJのは、もっと解りやすいのですが、
実際に「海」でもこの仕組みかどうか解りませんよ・・・
》映画でははじめから赤ですもんね
そう!これがとても面白いところで、
つまり、映画の『オズの魔法使』へのリスペクトなんですよね。。。きっと。
ちゃんと銀の靴も出すけれど、
60年前に映画にしてくれた人たちへの敬意も表してある。
麗しいですね・・・
投稿: みかん星人 | 2007年6月28日 (木) 午前 12時03分
たらこさん、コメントありがとう。
》カカシは「オズの魔法使い」では率先してドロシーを助けに城に向かうし、
》ましてやその城が実は自分の一族の城なら、うーんなんだか不思議。
これ、実は最初からの策略、だったら凄いですよね。。。
自分が良く知る城だから、天井から下がっているもので兵隊を倒せたのかもしれないし。。。
上の記事にも書き足しましたが、
「エルファバと水」の事を最初に思いついたのは、誰なんでしょう?
この噂が最初に登場するのが、二幕最初の場面ってのが、意味深です(*^^)
投稿: みかん星人 | 2007年6月27日 (水) 午後 11時56分
みかん星人さん、こんばんは。
私は今の『ウィキッド』にかなり満足していますが、
こちらにも参加させていただきます(笑)
私もプログラムに邦題がないのには、がっかりしました。
これ、結構楽しみですよね。
今回は歌詞・台本が「四季文芸部」となっていて、
浅利氏のお名前がないのに関係してるのでしょうか・・・。
あと、個人的に一番気になるのは、
2幕の「As Long As You`re Mine」を歌い終わった後の
エルファバのセリフです。
「I feel wicked」が「幸せ・・・」と訳されているんですが、
これって、そういう意味だったのでしょうか?
どうも納得できなくて、ずっと、もんもんとしています(笑)
それと、これだけは言っておきたい(笑)
福井さんがマンカスだけをされてた頃、
福井さんにタガーなんて絶対できないと思ってた私です。
今後何があるかは分かりませんよ(笑)
投稿: ク~ミン | 2007年6月27日 (水) 午後 11時40分
みかん星人さん、こんばんは。
‘トニー賞授賞式でのパフォーマンス’早速見ました!
貴重な情報本当にありがとうございます。
なんだか謎が解けてスッキリしましたw
二幕でのネッサの靴の色ですが、はじめは銀でエルファバが魔法かけた時に(照明で)赤色に変わってました。
(映画でははじめから赤ですもんね)
それからラストシーンの場所は私も「ぼくの一族の城」だと思いました。
劇中にグリンダがフィエロの事を‘ウィンキー国の王子様’と
言っている事と、原作で悪い魔女はウィンキー族を支配していると言っていた事からそうじゃないかと…。
あ、長文失礼しました!!
投稿: 佐藤知夏 | 2007年6月27日 (水) 午前 02時57分
私はまだ1回しか観てないからなんとも言えませんが、やはり腑に落ちないところっていくつかありますよね。。。カカシは「オズの魔法使い」では率先してドロシーを助けに城に向かうし、ましてやその城が実は自分の一族の城なら、うーんなんだか不思議。
何回か観たら少しは納得できるのでしょうか?
投稿: たらこ | 2007年6月27日 (水) 午前 12時09分