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2007年3月16日 (金)

『サン・ジャックへの道』

雑誌『旅』の4月号で紹介されていた『サン・ジャックへの道』を観てきました。
その記事でも書いたのですが、
「良くできたロード・ムービーをなぞる旅」という企画は、面白そう。
『パリ、テキサス』『テルマ&ルイーズ』
そして強烈なラストシーンをもつ『セントラル・ステーション』など、
映画を「旅」として追体験するのは面白いかもしれません。

で、この『サン・ジャックへの道』も良質なロード・ムービーでした。
仲の良くない三人兄弟が1500キロもの聖地巡礼の旅をして、
それはもう、予想通りの展開と結末になる映画。
風景は大変に美しく、旅の途中でみる夢は面白く、結末は温かい。
三人兄弟を取り巻く登場人物も、世代と性別の配置が上手く、
途中で、予想通りの、さまざまな問題と葛藤が描かれるのも面白い。。

更に『サン・ジャックへの道』は、その旅が徒歩であるために、
普通のロード・ムービーにはない不思議な味わいもあるのです。

みかん星人も、最近はなるべく歩くようにしていますが、
「歩く」ことがもたらす効果には、いろんなものがあると感じています。

まず「健康に良い事をしている」という充実感というか、
健康の免罪符を得ているという安心感があります。
この『サン・ジッャクへの道』でも、ほとんど薬漬けの長兄が、
やがて薬から開放されてゆく様子が描かれていましたが、
肉体的にも、精神的にも、自律していると感じられる快感があります。

東京の散歩ではあまり感じませんが、
それでもちょっとした自然に敏感になれるという楽しみもあります。
自然を感じ、その僅かな移ろいを感じられると、
いろいろな物事に敏感になりますし、感受性も磨かれる気がします。
映画の中でも10代の男女が4名登場していますが、
彼らが自分の心に湧き上がる感情に素直になってゆく様子が実に美しかった。

そして、「自分の小ささ」や、同時に「自分の力」や「可能性」という事も、
「歩く」という事で感じられるのです。
今まで、当たり前の様に車で行っていた場所に1時間ぐらい掛けて歩きます。
そんな経験をするまでは「無理だ」とか「無駄だ」と感じていた事なのに、
実際にやってみると楽しいし、心地よいし、満足できて自信が生まれる。
自分の限界が「もっと先」にある事を感じて「可能性」を手に入れられる。
この映画では、
そうした小さな覚醒が、やがて大きな成果となる様子が描かれています。
学校で国語を教えている長女のクララは、
批判的で不満ばかりを持って旅を始めますが、
やがて自分の中にある「教師になった原点」を思い出したかの様に、
「無駄な努力」をし始めます。。。これが、実に素晴らしいエピソードなのです。
上に挙げた『セントラル・ステーション』でも、
不満と欺瞞で身を守っていた中年女性が最後に心を開いて、
予想もできなかったカタルシスを与えてくれましたが、
この『サン・ジャックへの道』のクララも、素晴らしい力を観る者に与えてくれます。
 (そーいえば、あのクララも、自分の思い込みで歩けなかったんだよなぁ(爆))

「移動」が人の心を結ぶといった単なるロード・ムービーではなく、
「歩く」というという行為がもたらす楽しさを描いた『サン・ジャックへの道』、
とても素晴らしい映画でした。

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