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2007年2月24日 (土)

『ドリームガールズ』

いよいよ来週月曜日に、79回アカデミー賞が発表されます。
今年のノミネート作品には観ている映画が少なくて寂しいのですが、
そのうちの1本『ドリームガールズ』をなんとか観て来ました。
助演男・女優賞と、美術、衣装、録音、そして歌曲が3曲候補に上がっています。
授賞式でも、主役の3人が登場して、その3曲を歌うそうです。

物語は単純。
駆け昇り、紛糾し、混乱し、再生するという、語りつくされたもの。
けれど、時代背景を含めた「設定」に細心の注意を払い、
大切で重要な「音楽」を丁寧に作りあげて、
その世界にしっかりと染まり息づく「俳優」を配していれば、
最高のエンターテインメントができあがる。

ともかく、この『ドリームガールズ』は、最高に面白かった!

その一番の理由は、
この映画がちゃんとした「ミュージカル映画」になっていた事でしょう。
同じジェイミーフェックス主演の『Ray』も素晴らしい映画でしたが、
あれは「音楽映画」であって「ミュージカル映画」ではありませんでした。
が、
この『ドリームガールズ』は「歌」が物語を進める「ミュージカル」なのです。
例えば、中盤、【リードヴォーカル交代劇】に導かれてエフィーが歌う場面は、
それまで「音楽映画」に見えていたこの映画が、
一気に「ミュージカル映画」に変化してしまう瞬間です。
おそらく、「ミュージカルが嫌い」な人にとっては悶絶の瞬間でしょうね(笑)
しかし、この「強い思いが歌となってほとばしる」瞬間こそがミュージカルで、
 (『アイーダ』でのアイーダが最初に歌い出す場面などが典型)
この映画では、こういった「瞬間」が何度も出てくるのです。
ミュージカル好きには堪らない映画ですよ。

登場する役柄は、どれもが誰かを連想させてくれます。
みかん星人が大好きな映画に『グレイス・オブ・マイ・ハート』があって、
これは「キャロルキング」や「フィルスペクター」をモデルにしていましたが、
この『ドリームガールズ』は、「モータウン・レコード」を中心にして、
「ダイアナ ロス」や「シュープリームス」、「マーヴィン ゲイ」、
そして明らかに「ジャクソン・ファイヴ」がモデルになっているようです。
音楽も、どこかで聴いた感じの曲ばかりで、なかなかに笑えます。
けれど、そういう部分は少し無視、或いは「分からない」ままでも、
充分に楽しめますし、その方が一層楽しめるかもしれません。

ともかく、とてもよくできた映画で、かなり感激しながら、
「カーテンコール」の様なエンドクレジットを眺めていました。
、、、ら、、、とても驚きました。
・・・みかん星人は、この映画の原点を知らないまま観ていたのです。

なんと、この映画のオリジナルは「舞台」なのですね(*^^)
しかも、我が愛しの「マイケル ベネット」が演出と振付をしていた。。。
「バックステージもの」で「コーラス・グループ」に「鏡」(笑)
中盤のクライマックス、エフィーが離脱させられる場面での「鏡」は、
まさに「ACL」でのあの場面からのインスパイアなんだろうなぁ。
パンフレットには「舞台誕生秘話」も書かれているのですが、
ベネット達がこの物語を書き上げた経緯も『ドリームガールズ』そのもの。
ぜひとも、舞台版の『ドリームガールズ』が観たくなりました。
 (サントラ盤は、早速注文してしまいました・・・・)

それにしても、劇団四季はどーしてこれを輸入しなかったのかしら?
「生きているって素晴らしい」というメッセージもあるし、
なによりベネットの舞台なのになぁ。。。。

と、言うわけで(笑)
今、劇団四季がこの『ドリームガールズ』を上演したら?
と、どーしても考えてみたくなりますね(爆)
ビヨンセが演じた「ディーナ」は、美人という設定から花代さん(爆)
助演女優賞独占のJ.ハドソン演じる「エフィー」は、その迫力から智恵さんかな。
もう一人のドリームガール「ローレル」は、愛に苦悩する役どころ、、、
クリスティーヌで評判の苫田亜沙子さんなんかどーでしょう?
男優は、、、、
エディマーフィーが演じて、マーヴィンゲイを連想させる「アーリー」には、
一発で福岡を総立ちにさせたあの男・大塚俊くん以外には考えられません。
作った曲を盗まれて憤慨する好男子「C.C.」は田邊くんか、望月くんか、、、
名マネージャーの「マディソン」は歌わないのだけれど川原さん。
一番難しいのが、主役の「カーティス」。
実行力があって、影響力があって、女好き、、、ああ、阿久津くんかぁ(爆)

と、いうわけで、、、福井くん、出番無かったね(笑)

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コメント

mariさん、コメントありがとう。

》映画ってなんで拍手送っちゃいけないんでしょうね(笑)?
私は、映画館でかなり前の方に座る事もあって、拍手しちゃいます(笑)
『オペラ座の怪人』の時なんか、終わったら館内いたるところで拍手でしたっけ(*^^)

あの場面のエフィーは、舞台で観ていたら客も酸欠するほどでしょう。
でも、その一体感を得られるところが舞台の魅力なので、
やっぱり舞台で観てみたい演目ですね。。。

投稿: みかん星人 | 2007年4月 8日 (日) 午後 12時21分

>それまで「音楽映画」に見えていたこの映画が、
一気に「ミュージカル映画」に変化してしまう瞬間です

うんうん頷いてしまいました!ほんと、歌で物語が進行してこそのミュージカルですもんね。それにしてもあのシーンの後、カーティスと二人きりになったエフィの熱唱は、生で歌うミュージカル役者が毎日あの調子で歌ったらぶっ倒れてしまうんじゃないかと勝手に心配してしまうほどでした。
映画ってなんで拍手送っちゃいけないんでしょうね(笑)?

投稿: mari | 2007年4月 7日 (土) 午後 07時30分

チロルさん、コメントありがとう。

ええ、台詞が突然歌になったのには驚きましたが、
その瞬間の感情が、正に「ほとばしる」ようで、一気に頭がミュージカルモードに(笑)

ドラマとの絡み具合では、ビヨンセの場面の方が、私も好きです。
エフィーという役どころが好きになれないのもありますけれど(笑)
ディーナが唄う歌には、感情に振り回されてオーバーになる事がなくて、
繊細な「思い」が込められていたように感じます。

投稿: みかん星人 | 2007年3月25日 (日) 午後 05時44分

お久しぶりです。
私も公開早々に映画館へ駆けつけました!
最初は音楽映画なのかと思っていたら、
突然、ミュージカル映画に変化した・・・という点に
同感です^_^;
エフィー役のジェニファー・ハドソンがオスカーを
獲得したのも納得の熱演で圧倒されましたが、
ビヨンセが心情を吐き出して歌う場面も
とても印象的でした。

投稿: チロル | 2007年3月24日 (土) 午後 11時56分

takaさん、わざわざのコメント、ありがとうございます。
本当なら、私があなたのブログにコメントを書かなきゃならないのにね(*^^)


「夢」ってのは大切ですし、同時に危ういものでもありますね。
だから大切なのは「愛」との二人三脚なのかもしれません。
カーティスに「夢」はあったけれど「愛」が不足していた。
ある意味でエフィーには「愛」があっても「夢」が無かったのかもしれませんし。。。。


エディー君は「サタデー・ナイト・ライブ」の出ですから、
私のイメージからすると「歌える人」だったんですよ。
いつか、彼で、サミーデービスJr.の映画なんか作って欲しいなぁ(笑)

投稿: みかん星人 | 2007年3月19日 (月) 午後 09時44分

TBありがとうございました。。やっと、、観る事ができました。(^。^;)
なかなか良い時間がなく、慌しく出かけてきました。息子が<夢醒めと一緒だね!>って言ってくれた事でこの慌しさも◎になりました。((笑))
夢と愛が語れる人間に成長して欲しいと。。親心!!
それにしてもエディがあんなに歌えるなんて・・びっくりの私。。(*'-'*)エヘヘ

投稿: taka | 2007年3月19日 (月) 午後 12時22分

》生かされていないと感じるのは結局そういうことかしらん??

こちらに書いてあるかもしれません(笑)
http://mikanseijin.moe-nifty.com/logbook/2007/01/post_5a83.html

思うのですが、、、「○」にしろ「×」にしろ、
こういう場所に記事として書けるという事は、
基本的な部分にはOKを感じているという事なのです。
『大奥』や『マリー・アントワネット』はこの典型ですね。

若い頃は、お金は無くて時間はあって、シネコンではなかった事もあり、
気に入った映画だったら「3回し」ぐらいは観て帰ったものです(笑)
『ブレードランナー』を4回続けて見た時は、幸せでした。

続けての鑑賞は、体力的にも、無理ですが、
同じ映画を「もう一度スクリーンで」というのは楽しいですよねぇ。
『オペラ座の怪人』は、結局、7回観ましたもの(笑)
たぶん、劇団四季のを観たのと同じぐらいかも(爆)

投稿: みかん星人 | 2007年3月 3日 (土) 午前 01時52分

お返事、ありがとうございます。

「大奥」をご覧になっていたのですね。
あれは表面的にはどうということのない映画でした。
生かされていないと感じるのは結局そういうことかしらん??

堕ちるツボ、これはありますねー、そーです、そーです。
言われてみれば、私は『ドリームガールズ』で堕ちるツボが無かった。
でも、もう1度観てみようと思います。
最近、同じ作品を映画館で2度観るのがクセになってきました。

『オペラ座の怪人』は、私も映画の方が良かったのですが、
舞台は四季で1回だけしか観ていません。
演出家が変わると多少印象が変わりますよね。
オペラ座の怪人は、怪人に対する解釈にとても興味があるので、関連ものは全て読んだり見たりしようと思います。
いずれまた何か質問することがあるかも知れません。
その時はよろしくお願いします。

では、また~。

投稿: 葉直 | 2007年3月 2日 (金) 午前 09時20分

葉直さん、コメントありがとう。

「世の評価」は分かりませんが、「大好き」な映画です。
もう少しモータウンっぽいリズムが聴けたら「超好き」です(笑)
たとえば、こんな曲とか。。。
http://www.ongen.net/free/trial_download.php?id=tr0000156133&file_id=fl0000000001&stream_flag=1

大方の感覚とはずれているのかもしれませんが、
きっと、私と葉直さんは、同じ部分に共鳴しながらも、
その部分の扱いの微妙な違いで「○」「×」に分かれてる気がします。
葉直さんの『大奥』の感想を拝読しましたが、
http://community.movie.livedoor.com/item/700/i22212786/review/e20341/
驚くほど同じような部分に注目しているんですよ。
でも、私はその同じ部分を見つけたけれど、それが生きてないが故に、
「もったいない映画」と怒りすら感じたのです(笑)
【宮城】という役処に込められた意味や、金魚、雨、羽織、、、
こういうメッセージをちゃんと読み取っていながらも、
たどり着いた感想がほぼ正反対という「だけ」の事だと思います(笑)

ついでなので、私がこの『ドリームガールズ』で堕ちたツボを書いてみましょう。
自分達のレコードが地元のラジオで放送され、
それを車の中で聴く場面で、堕ちたのです。
「モータウン」というレコード会社は、実際、できた曲をラジオで放送して、
それをわざわざ車の中で聴いて、「売る」「売らない」を判断したそうですよ。
そんなエピソードを思い起こしていたら、ずっぽりと映画の中に入りました。

でも、私も舞台でこの演目を観たいものです。
(ただ『オペラ座の怪人』の様に映画に軍配をあげそうな予感もありますが(爆))

投稿: みかん星人 | 2007年3月 2日 (金) 午前 12時19分

こんにちは!
『ドリームガールズ』、昨日観てきました。
ミュージカルは好きですが、これはあまり優れた映画だとは思えませんでした。
後からリサーチすると大変な高評価&好評価、またしても大方の感覚とズレてしまいました・汗。
嫉妬するほど・笑・沢山のミュージカルを観ていらっしゃるみかん星人さんも太鼓判ですね…プチショック・笑。
でも舞台は“絶対”観てみたい、そう思わせてくれる作品でした。

投稿: 葉直 | 2007年3月 1日 (木) 午前 07時54分

nemutanさん、コメントありがとう。

私など「レイトショー」で観ましたので1200円でした。
これは、一見、儲けものです(笑)
ただ、おかげでCD(DVDつき)も買ってしまいましたし、
曲も耳になじんで、また観に行きたくてウズウズしていますので、
結果的には散財になるかと。。。
 (映画の『オペラ座の怪人』の二の舞だぁぁぁぁ)

「心の中で拍手」では物足りなくてですね、
私と、隣で観ていた福井晶一くんを好きなお姉さんと二人で、
盛り上がる度ごとに拍手しちゃってました。。。
 (大きなスクリーンで4列目での鑑賞ですから、周りに人は居ないのです)

そーですね、、、、映画の中でも、
「ブラック・パワー」みたいな部分を重視していましたし、
東アジアの声やリズムとは違いますし、そこが魅力ですからね。。。
でも、劇団四季に期待しちゃいますね<だから無駄だってば(爆)

投稿: みかん星人 | 2007年3月 1日 (木) 午前 01時26分

TB&コメント有難うございます(~_~)
私ももちろん観ましたが、映画チケット代が安く感じる程、
大満足の素晴らしいミュージカル映画でした☆
歌い終わる度に心の中で大拍手してました(笑)
私も『四季で上演したらどうなるのかな♪』
なんて考えてしまいましたが、
あのブラック系独特の体中から湧き出るパワーや情熱を表現するには、
東洋人には難しいのかな・・なんて思ってしまいました。
でも、みかん星人さんの配役予想もなかなかいいですね
(^o^)

投稿: nemutan | 2007年2月28日 (水) 午後 04時42分

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