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2007年2月25日 (日)

『イケメン美術館』 by 中山庸子

面白いタイトルの本ですが、
実は、最初にタイトルをみた瞬間、「不思議」な感じがしました。
それは、読み進むうちに分かるのですが・・・・

ともかく、手にとって最初に感じだのが、
「なんだ、、、カラーじゃないのか」という事。
美術をテーマにしていて、絵画そのもの話が中心なのに、
どれもこれも白黒ばかりなのが、とても残念。
「白黒なら版権が安い」って事でもあるのかな?(笑)
と、いうわけで、いきなりですが、リンク集です。
この本に登場する「イケメン」を、リンクでご堪能ください。

聖マタイの召命 by カラヴァッジョ p.24

凸面鏡の自画像 by パルミジャニーノ p.30

春(ラ・プリマベーラ) by ボッティチェリ p.63

アルピエの聖母 by アンドレア デル サルト p.72

ラファエロ サンツィオ(自画像) p.75

十字架降下 by ポントルモ p.79

ウルビーノ公 の肖像 by ピエロ デラ フランチェスカ p.121

アテネの学堂 by ラファエロ サンツィオ p.155

アダムの創造 by ミケランジェロ ブォナローティ p.161

洗礼者聖ヨハネ by レオナルド ダ ヴィンチ p.198

1500年の自画像 by アルブレヒト デューラー p.201

取り上げられている絵画そのものは見つけられませんでしたが、他にも、
ティツィアーノ ヴェチェリオ」と「ジョルジョ ヴァザーリ」という画家の作品。

さあ、この本の感想は、これからだ(笑)

この本『イケメン美術館』で「学んだ」事は、大きく分けて二つ。
ひとつは、「マニエリスム」という美術様式の存在。
これは爛熟した「ルネサンス」に続く時代で、みかん星人は初めて知りました。
で、この「マリエリスム」の解説と言うか解読がなかなか面白いのです。
いわく「出来の良い兄を見て育った弟」という存在、なのだとか。
まあ、音楽で言えば、、、
あらゆるメロディが出尽くしてしまった60年代に続く、
試行錯誤とメッセージの70年代音楽ってところでしょうか(笑)
ともかく、著者の中山氏は、
この美術様式に潜む「拗ねて崩れた雰囲気」の「イケメン」に惚れているようです。

さて、そもその「イケメン」という部分です。

みかん星人は、
「絵画」という芸術は「イケメン達だけで構成されている」のだと思ってました。
つまり、描かれているモデルは、だれもが「画になる美しい人」なのだと。。。
そう、この本で学んだ「もう一つ」の、そして「不思議」な部分がこれなのです。
芸術作品として完成している動かない人物に対して見惚れる。
その構図や、詳細に描かれているという技術的な部分にではなく、
「イケメン」として見惚れるというアプローチがあるのだという事に、驚きました。
更には「好みのイケメン」という括りがあって、
「綺麗な男の子なら誰でも良い」どころか、
「イケメンはことごとく美しい手の持ち主なのだ」なんてこだわりまである。

で、まぁ、読んでなんとなく分かったのですが、
要するに、「絵画の中に描かれた物語」だけではなく、
そこに「私(鑑賞者)が考えた物語」をも加味して鑑賞しているんですね。。。
著者の中山氏が最初に「恋心」を抱いた、
パルミジャニーノの自画像」に出会った感想をこう書いています。
「澄んだ瞳は、ちょっとだけ見るものをからかっているような冷ややかさがあって、この時が才能と美貌、そして若さという武器をすべて手にしていた彼のまさにピークのときだったのだろう・・・と思いました。このあまりに美しい顔が、彼の「その後」から色々なものを奪ってしまったのかもしれません。」
ここには、絵画そのものが発する情報だけではなく、
その容姿からの妄想ばかりでもなく、
画家やモデルに関する史実も知った上での「思い入れ」があるわけです。

・・・ま、考えてみれば当たり前の鑑賞スタイルなのですが(笑)
なかなか奥深いですよ、これは。
一枚の「絵画」から「ドラマ」を取り出すわけですからね。。。

第3章の「美術館は楽しいテーマ・パーク」は納得の部分。
この本に書かれた美術館の鑑賞方法は大賛成ですね。
いつも美術館・展覧会などに行って驚くのが、
「律儀に並んで、順路通り・作品番号通りに観る長蛇の列」です(笑)
みかん星人は、場内に入ると全体をザッとみて歩いて、
その中で「面白そう」な作品に目星をつけて、
空いている隙を見てじっくりと眺めるという事をします。
で、連れがいると「これは観たか?」とか「この画が好き」とか、
最後には「どの作品が欲しいか」なんて話をするわけです。
そう、本当に最高の「テーマ・パーク」ですね。

と、いうわけで。
この『イケメン美術館』は、美術鑑賞の入門書などではなくて、
ひとつの「美術鑑賞のスタイル」を知る事で、
自分の鑑賞スタイルに新しい側面を加えられるという一冊です。


イケメン美術館

  • 中山庸子
  • 原書房
  • 1470円

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書評

【書評リンク】
Lovelycats by matikaさん
mixi
フレパ

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