『大奥』
テレビドラマは観ないみかん星人ですので、
この映画の原点のテレビドラマ『大奥』は、一度しか観ていません。
観た理由も、テーマ曲の『愛と欲望の日々』byサザンオールスターズを聴きたくて、
で、構えていたらエンドタイトルだったので最後まで観てしまった1回だけ(笑)
それでも、ドロドロとした女性同士の確執を描いたドラマとして秀逸である、と、
そういう評判は聞いていました。
で、それが、絢爛豪華な映画として登場。
しかも『元禄忠臣蔵』にも登場した「絵島」が主人公との事で、興味津々。
でしたが、、、どうにも中途半端でした。
この映画、
基本的には「大奥に閉じ込められた女性の悲哀」をテーマにしつつ、
その一方で「絵島生島事件の政治的な駆け引き」を描こうとしています。
それはもちろん「無理」では無いのですが、
どうせなら、総てを「大奥のドロドロ感」で描ききった方が良かったかも。
具体的に言うと、岸谷さんや柳葉さんの役は要らなかったって事ですかね。
(二人が下手だったとか、って事では無いですよ(笑)
むしろ、二人が上手かったから、それが雑音になったという事)
更に言うと、、、、時代考証が妙なのも気持ち悪いですね。
まず、絵島生島事件に「火事」というのは出てこないのです。
江戸時代の火事は大変に怖いものでしたから、
それを「背景」に使うという神経が、なんか嫌ですね。。。。
(史実では、歌舞伎を観て門限に遅れたのを咎められた事になってる)
さらに、それは2月の事で、映画の様に花火が上がる季節でもない。
最悪なのはその花火で、
江戸時代の花火は「夜空に朱を流したようなもの」つまり単色でした。
だから、青や緑なんて色は無かったのです。。。さらに、、、
この「打ち上げ花火」が盛んになるのは、八代将軍吉宗の時代で、
その直前のこの時代には、こんな花火大会はなかったのです。
「好きな人と一緒になにかをみる」という大切な場面なのですから、
もっと工夫して、素敵な場面にして欲しかったですね。。。
ま、そんな事はともかくも・・・・
もっとも「がっかり」だったのは、生島新五郎です。
どうみても、当時大変に人気があった歌舞伎役者に見えない!
性格の描写においては「身分がどうした!」という風情があって良いのですが、
その仕草、視線、台詞、、、どこをとっても人気歌舞伎役者に見えない。
むしろ、懐月堂安度としてチラっと登場する谷原章介さんのほうが、
ずーっと色気があって素敵(笑)
色気がある、、、という意味では、
登場する女優さん達が、どーも綺麗に見えないのも残念。
まず、いつもどおりアップの画が多いから、肌の状態がスクリーンに露になる。
これが、なんだか、少しも、全く、綺麗じゃない。。。眉毛の形とかも、妙。
さらに、肌の色・血色が悪い、、、ブラウン管用の色調なんでしょうかね?
最悪なのは、カメラのピントが合っていない事!!!
大きな画面で観る画を作るという「覚悟」が無いカメラマンなのでしょう。
と、言うか、要するに「表現力が全く無い」のでしょうね(笑)
で、そんな顔色なので、芝居もなんだか薄っぺらく感じました。
そんな中、存在感を発揮していたのは、「間者」(笑)の杉田かおるさん。
さすがに芝居が上手いですねぇ、、、情念を強く感じました。
そもそもの原案は上手いと思います。
「おなごを狂わす恋というもの」に対する絵島の関心(興味・本能)を、
「恋に溺れた上司」や、
「男らしい行動力で魅了する良い男」という登場人物で揺さぶる。
そして、最後に、
「ただ一夜でも、それを知れば、あとは余生と思える恋を知りました」
と言わせて微笑ませる。。。。そう、実に上手い。
が、
映画としての描写の総てが余りにも杜撰なので、少しも伝わらない。
実に、もったいない映画でした。
そうそう、、、「江戸城」を描くのは大変だとは思いますが、
いきなり「あら、東福寺だわ」と分かっちゃう史跡の使い方も、やめましょうね(笑)
それと、、、江戸時代に「キス」という概念はありませんのよ(爆)
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