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2007年1月20日 (土)

『大奥』

テレビドラマは観ないみかん星人ですので、
この映画の原点のテレビドラマ『大奥』は、一度しか観ていません。
観た理由も、テーマ曲の『愛と欲望の日々』byサザンオールスターズを聴きたくて、
で、構えていたらエンドタイトルだったので最後まで観てしまった1回だけ(笑)
それでも、ドロドロとした女性同士の確執を描いたドラマとして秀逸である、と、
そういう評判は聞いていました。

で、それが、絢爛豪華な映画として登場。
しかも『元禄忠臣蔵』にも登場した「絵島」が主人公との事で、興味津々。
でしたが、、、どうにも中途半端でした。
この映画、
基本的には「大奥に閉じ込められた女性の悲哀」をテーマにしつつ、
その一方で「絵島生島事件の政治的な駆け引き」を描こうとしています。
それはもちろん「無理」では無いのですが、
どうせなら、総てを「大奥のドロドロ感」で描ききった方が良かったかも。
具体的に言うと、岸谷さんや柳葉さんの役は要らなかったって事ですかね。
 (二人が下手だったとか、って事では無いですよ(笑)
  むしろ、二人が上手かったから、それが雑音になったという事)

更に言うと、、、、時代考証が妙なのも気持ち悪いですね。
まず、絵島生島事件に「火事」というのは出てこないのです。
江戸時代の火事は大変に怖いものでしたから、
それを「背景」に使うという神経が、なんか嫌ですね。。。。
 (史実では、歌舞伎を観て門限に遅れたのを咎められた事になってる)
さらに、それは2月の事で、映画の様に花火が上がる季節でもない。
最悪なのはその花火で、
江戸時代の花火は「夜空に朱を流したようなもの」つまり単色でした。
だから、青や緑なんて色は無かったのです。。。さらに、、、
この「打ち上げ花火」が盛んになるのは、八代将軍吉宗の時代で、
その直前のこの時代には、こんな花火大会はなかったのです。
「好きな人と一緒になにかをみる」という大切な場面なのですから、
もっと工夫して、素敵な場面にして欲しかったですね。。。

ま、そんな事はともかくも・・・・

もっとも「がっかり」だったのは、生島新五郎です。
どうみても、当時大変に人気があった歌舞伎役者に見えない!
性格の描写においては「身分がどうした!」という風情があって良いのですが、
その仕草、視線、台詞、、、どこをとっても人気歌舞伎役者に見えない。
むしろ、懐月堂安度としてチラっと登場する谷原章介さんのほうが、
ずーっと色気があって素敵(笑)

色気がある、、、という意味では、
登場する女優さん達が、どーも綺麗に見えないのも残念。
まず、いつもどおりアップの画が多いから、肌の状態がスクリーンに露になる。
これが、なんだか、少しも、全く、綺麗じゃない。。。眉毛の形とかも、妙。
さらに、肌の色・血色が悪い、、、ブラウン管用の色調なんでしょうかね?
最悪なのは、カメラのピントが合っていない事!!!
大きな画面で観る画を作るという「覚悟」が無いカメラマンなのでしょう。
と、言うか、要するに「表現力が全く無い」のでしょうね(笑)
で、そんな顔色なので、芝居もなんだか薄っぺらく感じました。
そんな中、存在感を発揮していたのは、「間者」(笑)の杉田かおるさん。
さすがに芝居が上手いですねぇ、、、情念を強く感じました。

そもそもの原案は上手いと思います。
「おなごを狂わす恋というもの」に対する絵島の関心(興味・本能)を、
「恋に溺れた上司」や、
「男らしい行動力で魅了する良い男」という登場人物で揺さぶる。
そして、最後に、
「ただ一夜でも、それを知れば、あとは余生と思える恋を知りました」
と言わせて微笑ませる。。。。そう、実に上手い。
が、
映画としての描写の総てが余りにも杜撰なので、少しも伝わらない。
実に、もったいない映画でした。

そうそう、、、「江戸城」を描くのは大変だとは思いますが、
いきなり「あら、東福寺だわ」と分かっちゃう史跡の使い方も、やめましょうね(笑)

それと、、、江戸時代に「キス」という概念はありませんのよ(爆)

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