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2007年1月13日 (土)

野田地図第12回『ロープ』 @ シアターコクーン

野田地図(map)は、
去年の今頃観た『贋作・罪と罰』に続いてようやく2度目。
今回の主演は「宮沢りえ」さんと「藤原竜也」くん。

宮沢りえさんと野田秀樹さんといえば『透明人間の蒸気』も観ていますが、
今回のりえさんは、声が少し違って聞こえました。
台詞が多いこの舞台を12月から演じているので、声が変わったのかしら?
ちょっと怖いくらいの迫力を感じる声でした。

藤原くんは、今回の役は台詞よりも体(肉体)が大変そうでしたね。
冒頭、とある場所から出てきますが、あれって開場前からあそこに。。。?
ともかく、数少ない私が観た藤原くんの中で、一番おとなしかったかも(笑)
自分が発する台詞に触発されてどんどん狂気に傾いてゆく感じが、
今回はちょっと控えめで、どこかに醒めた部分を残している気配が上手い。

それにしても、宇梶剛士さんの台詞って、気持ち良いなぁ・・・
『贋作・罪と罰』でも感じましたが、あの不気味さは素敵。

物語は、要するに「反戦・反暴力」なのでしょうけれど、
それを「メディアの罪」という方向で語っているのが面白かった。
いや、、、これもまた「面白い」と言っては語弊があるのかもしれ無いけど、
昨今のニュースを見ていると、
「報道」というものが「事件を伝える」のではなくて、
「事件を生み出す」とか「事件を蔓延させている」気がします。
事件にある「悲しみ」や「痛み」そして「消えてしまった未来」という事柄よりも、
事件の「特異・特徴・特殊性」ばかりを伝えてしまっている気がするのです。

この舞台では、それを「視聴率」や「資本」の問題として描いていますが、
理由はなんであれ、
「本当に伝えなければならない事」を見失った情報は、
雑音であるばかりでなく、間違いのもとだという事ですね。

タイトルの「ロープ」というのは、
プロレスのリングに張られたロープの事なのですが、
「情報を限定するフレーム」としてのロープという意味でもありましょう。
印象的な台詞に「なぜロープの外に出たんだろう?」というのがありましたが、
その「ロープ」を「情報の受け手」が意識することが、なにより大切なのです。

前半は「コント」のような軽快な舞台でしたが、
後半の重さとメッセージの強さは尋常ではなく、間違いなく「傑作」ですね。

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コメント

kaz*さん、コメントありがとう。

CMで知るりえさんとは、別人でしたねぇ。
「男の子」な気配さえありましたから。

そういえば、
13日はミュージアムで催されていた「エッシャー展」の最終日で、
開演時間の午後7時になっても「入場2時間待ち」でした。
で、野田さんはすかさずそれをネタにして、
「視聴率が取れないのは、美術館に人が行っているからだよ!」
と笑わせていましたが、、、14日には、そういうクスグリは無かったのかしら?

それにしても、あの「エッシャー展」の行列は凄かった。。。

投稿: みかん星人 | 2007年1月17日 (水) 午後 10時54分

あれ? みかん星人さんは13日にロープでしたか。
私は14日でした。おしいっ!

りえちゃんは透き通るような声のイメージでしたが、第一声からびっくりしました。
きっと叫びすぎであんな風になってしまったのではないかと…。

そういえば、キティを愛し、ドラえもんを愛する息子を持つ母としては悲しいセリフもありましたっ。ぐすん。

投稿: kaz* | 2007年1月16日 (火) 午後 01時38分

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