« 今日の、福井晶一くん、、、もしや、タンブルブルータス? | トップページ | 『007 カジノ・ロワイヤル』 »

2006年12月29日 (金)

『鹿鳴館』凱旋公演

10月に京都で観た『鹿鳴館』が10回目の鑑賞で、
本日、11回目の『鹿鳴館』を堪能してきた。

此度の凱旋公演における最大の注目点は、石丸清原でしょう。
それから、季子を務める中野さんと、草乃の都築さんにも注目。

冒頭、いきなり引き付けられるのが、都築さん演じる「草乃」。
この声は素敵、、、実に控えめで、無駄が無い。
視線の使い方が実に上手く、
二幕での伯爵との会話で彷徨う視線は最高だ。

劇団四季の芝居は、どことなく、
「誰かが台詞を言っている間は、他の人は芝居をしない」
という雰囲気があるが(笑)
都築さん演じる草乃は、伯爵が何かを言う毎に芝居で対応する。
これは、当たり前のようだけれど、実はなかなか難しい。

 

さて、大注目の石丸さんが演じる清原には、驚きの連続(*^^)
なにしろ「清原永之輔」という人物が、とても魅力ある男に見える。
素直に言えば「恰好良い!」のよ(*^^)
そして、その「恰好良い革命政治家」が、
20年ぶりに愛しい人に逢うその緊張と歓びが見事に伝わってくる。

例えば、邂逅してすぐに朝子から「どうぞこちらへ」と誘われた時、
そそくさとは動かず、
「向かい合っている人の美しさに見惚れている」様子や、
「故に、相手が何を言ったのかを理解するまでに時間が掛かる」事や、
「さらに相手へ近づく事への躊躇いと、ときめき」という気持ちが、
ほんの数秒、動き出すタイミングを遅らせる仕草(芝居)の中に滲む。

同時に、観ている側も、
「石丸幹二と野村玲子」の共演をこうして再び眺める事の面白さと、
期待と、そして美しさに感動する余裕を与えられる。
その「間」の上手い事、上手い事。。。

これに続く約20分は、本当に「演劇」を観ている楽しさに満ちていた。
もっと言うなら、「愛し合っている者同志の心の交流」を楽しむ歓び。
20年も離れていたのに、一瞬で蘇ってくる「愛しさ」は、
特に、「自分を思って行動した朝子」を感じ、理解した清原が、
自身の行動を決断する際の苦悩を通して見事に描き出されていた。

これは、やはりハンサムな石丸清原だから見えてくる事だ。
石丸清原の若々しく凛々しい姿に、「朝子に対する慕情」を感じとれる。
やはり、恋をしている人は、そういうものだし、
それこそが、舞台に「良い男、良い女」が求められる理由だ。

そんな石丸清原と向き合う事で、朝子の行動もまた麗しく感じるし、
対する影山伯爵の嫉妬も強烈に感じられた。
そして、改めて思う。
「『鹿鳴館』は、三島由紀夫の『小賢しい女』への嫉妬が原点だ」と。

さて、今日の『鹿鳴館』は、イベントがあった。。。

終わった後のオフステージ・トークに参加た。

登場した役者さんは、
伊藤博文の青木 朗さん、草乃の都築香弥子さん、
清原の石丸幹二さん、季子の中野今日子さん、
そして写真師の喜納兼徳さん。
それぞれが舞台で使われる小道具を手に登壇。

写真師の喜納さんは、写真機を使ってのお話。
マグネシウム(実際は火薬?)の発光が難しいらしい。
最後にその撮影を再現したのだけど、見事に不発で、
「難しさ」を図らずも実証してしいた(笑)

続いて侯爵夫人・季子の中野さんは、扇のお話。
「開いたり閉じたり」にまつわる話は、なんだかとても可愛かった。

石丸さんは「生きた勲章」のお話。
二幕で、どういう思いでその勲章を着けるのか、の話が素敵。
踏まれる勲章は、小道具さんのお手製だそうです。
なぜか、我が家には、福井久雄が初登場した日の花びらが。。。。

この凱旋公演が、劇団四季での最初の舞台となった都築さんは、
手鏡とハンカチに関する話。
「演技」に入るためのスイッチの話も、興味深いもの。

青木さんは、軍服につけている「剣帯」の話。
なんと、本物だそうで、階級を表す星がついているとの事。

その後は恒例の質問コーナーで、、、ま、いつもの通り(笑)
サイン入りのプログラムや原作文庫がプレゼントされると云う、
ちょっと変わったオマケもありつつ、イベントは30分で終了。

もう一度、石丸清原が観たいなぁ、、、と思いつつ、劇場を出た。

|

« 今日の、福井晶一くん、、、もしや、タンブルブルータス? | トップページ | 『007 カジノ・ロワイヤル』 »

コメント

とみさん、コメントありがとう。

ええ、「見るからにそれと解る二人」なのです。
そして、それ故に美しいと感じさせてくれるのですね。

不思議なもので「慕情」というのは本能レベルで感知してしまうもので、
映画を観ても、それが世界的に普遍であるばかりでなく、
「既知・未経験」を問わずに「解ってしまう」ものだと思うのです。
逆に言えば、これほど演技の質を問われるシチュエーションはないわけす。

そういう意味で、石丸清原を迎えた『鹿鳴館』は、
かつて無いほどに情念の渦巻くメロドラマに仕上がっていたと思います。

8日まで、、、鹿鳴館のマダムもお待ちかねですよ(*^^)

投稿: みかん星人 | 2006年12月31日 (日) 午前 10時39分

>みかん星人さま
>「愛し合っている者同志の心の交流」を楽しむ歓びですね。
詳報ありがとうございます。愛し合う必然の男と女がビジュアルに表現されていなければならないという演劇の鉄則を改めて感じさせて頂けるお二人でしたか。
ワタクシも恋人どおしが心が通う瞬間が最も好きです。アスペクツオブラブの列車のシーンでドボ泣きできましたね。これも石丸さん。
行こうかと悩みましたが,見ても見てもまた見たくなる無間地獄に堕ちていることを自覚し断念しました。
いいな~。終着駅まで見届けるのだった。

投稿: とみ | 2006年12月30日 (土) 午前 10時42分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『鹿鳴館』凱旋公演:

« 今日の、福井晶一くん、、、もしや、タンブルブルータス? | トップページ | 『007 カジノ・ロワイヤル』 »