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2006年12月30日 (土)

『007 カジノ・ロワイヤル』

試写会で観ましたが、前売りも買ってあった事もあり(笑)劇場で再見しました。

原作の『カジノ・ロワイヤル』は、「James Bond・シリーズ」の第一作ですが、
みかん星人が初めて読んだ「007」物でもあり、その影響は計り知れません。
食べるもの、特にお酒に関しての「知識欲」はもちろん、
あらゆ物事に精通している「大人の男」のモデルが、ここに描かれたボンドでした。
・・・もちろん、外見は全く違うのは自覚していましたので、その辺りは省略。
あと、タバコを吸わなかったのも、この小説の影響かな。。。

さて、第一作がようやくMGMの007映画となった経緯は、こちらを。
21作目にして、携帯電話がアイテムとして登場する今の時代の中で、
こうして「ジェームズ ボンドが007になる物語」を映画にするのは、
ちょっと違和感があるようにも感じます。
実際、
「じゃあ、60年代の007は何者? 宇宙へ行った彼は誰?」
なんて考えてしまうと、この作品は「?」の嵐でしょう。
で、少し考えてみましょう、、、007は「番号」に過ぎないという事を。
イギリスの諜報部で、
「任務遂行のためならば人を殺してもかまわない」
というライセンスを持っている7番目の人物であり、
その人物が男であれば「ジェームズ ボンド」と名乗らせる。

これが「007号ジェームズ ボンド」の正体なわけです。
ですから、今まで何人もの007号がいた、と考えるのが自然です。
その視線が、また、映画の007シリーズに「深み」を与えもします。

実は、こういうアイディア(笑)は、他の映画に登場しています。
ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』という映画が、それ。
「どこが、どう」と言ってしまうとつまらないので避けますが、
今回の『カジノ・ロワイヤル』が007シリーズに与えた影響は、
『北北西に進路を取れ』の中で使われていたアイディアの換骨奪胎です。

007号というスパイは、しかし、かなり風変わりなスパイなのです。

ボンドは、いつも贅沢なホテルに泊まって、贅沢な食事をする。
朝食には拘りがあって、
スクランブルエッグを二人前にベーコンを添えて。
 もの凄く熱い大きなカップに入ったブラックコーヒー。
 トーストとマーマレード、そしてオレンジジュース

というメニューを必ず注文するのです。
タバコにも拘りがあって、
バルカンとトルコの葉を混ぜた紙巻タバコ(シガレット)で、
 1本1本に3本の金筋が入っている特注品。
 それを砲金製で50本入るシガレットケースに入れて持ち歩く。
 ライターはロンソン製のもの

(この面倒な拘りがあったので、みかん星人はタバコを吸わなかった)
ですから、、、
「こういう朝食を注文して、金線入りのタバコを吸う男」
を探したら、007は簡単に見つかってしまうわけです。
簡単に見つかってしまうスパイって、大丈夫?って思います、
が、あまつさえ、007号は自ら名乗るのです。
My name is Bond. James Bond.」と。
そう、007というのは、とても特異なスパイなのですが、
この映画『カジノ・ロワイヤル』には、
「007号」がこうした「特異なスパイ」になる最初の姿が描かれています。

それが、ラストシーンなのです。

もちろん、途中でも相変わらず「バレバレ・スパイ」なボンドなのですが、
最後の最後に、彼はいつものスタイルで名乗る。
「スパイ」という立場、「人殺し」にもかかわらず、
彼、ジェームズ・ボンドは、まるで騎士の様に名乗る。
続いてエンド・クレジットと共に聴こえてくるのが、有名なあの曲。

こうして、21作目にして、44年目にして、
ようやく007・ジェームズボンドが何者なのかが、この映画で描かれたのです。

さて、、、下の写真は、この映画の公開を記念して発売された、
007/アルティメット・コレクションBOX」です。
2007年は、これをひとつずつちゃんと観て、感想を書きたいなぁ。
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