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2006年11月19日 (日)

『朽ちていった命』

1999年、平成11年9月30日に、茨城県の東海村で「臨界事故」がありました。
たった7年前の事故ですから、
「ああ、そんな事故があったなぁ・・・」
と、思い起こされる方が多いのではないでしょうか?
でも、きっと、こういう記事を読まない限り、思い出す機会は無い事故ですね。

この本は、その事故で被曝した大内久さんと、
彼の命を救うために尽力した人々の、戦いの、記録です。

この本は、NHKの報道局科学文化部のデスク・岩本裕氏が書いたもので、
そもそもは、
『被爆治療83日間の記録~東海村臨界事故~』
というテレビ番組の取材として集めた資料や記録したものを、
2001年9月11日(!)に書籍としてまとめ始めたものだそうです。
2002年10月に岩波書店から一度出版されています。

この番組を見た時の衝撃は、今でも鮮明に残っています。
この本を読みながら、あの番組を見た時の「寒気」を思い出しました。
放射線の怖さは、
「『広島・長崎』を経験した日本人は良く知っている」
と思っていたのですが、
あの番組と、この本は、それがまだまだ未熟であることを教えてくれました。
放射線が、細胞に対してどれほど恐ろしい凶器なのかを思い知らせてくれます。
特に、書籍化にあたっては、
テレビでは「わかりやすさ」のために省いていた「詳しい解説」が加えられ、
全体に「もっといろんな事をちゃんと伝えたい」という姿勢に貫かれていて、
たった200ページの薄い本ですが、とても読み応えがあります。
最も衝撃的な事実は、この臨界事故をもたらしたウランの質量は、
わずかに1/1000グラム、つまり1mgだったという事。。。

この本の白眉は「あとがき」でしょう。
被爆した大内氏の家族や医療スタッフとの交流を通して岩本氏が感じた事が、
この最後の「あとがき」の中に濃密に書きとめられています。
「報道」が堅持すべきとても大切な姿勢も垣間見られて、
視聴率や話題に振り回された「報道」との違いを感じられます。

電力の30%を原子力に依存している日本。
この『朽ちていった命』は、
原子力を取り巻く環境がどういう仕組みで成り立っているのかを教え、
そこにあるべき「責任」や「問題解決力」に関心を抱かせると共に、
「いきる」という事がどれほど奇跡的で不思議で凄いことなのかを感じ、
同時に、
「死」を真剣に考える良い機会を与えてくれる、すばらしい一冊です。

そうそう、、、あの番組も、時宜を見つけて再放送して欲しいですね。


朽ちていった命―被曝治療83日間の記録

  • NHK「東海村臨界事故」取材班
  • 新潮社
  • 460円

Amazonで購入
書評

【書評リンク】
ディ・モールトな日々 by momochichiさん
ハチの巣で物語を by シルフレイさん
mixi

フレパ

この本に関しては、もっとリンクを広げたいと思いましたので、
プロジェクト外の以下のブログにTBをさせていただいてます。
順不同ですが、いずれもすばらしい記事です。

Long after Midnight - とうに夜半を過ぎて by Blue Geneさん
ちょこっと一筆 by ゆんさん
書評風-読んだら軒並みブックレビュー by りりこさん
ひとりあしびなー by らのさん
グルメリサ by ciaoさん
SSD通信 by きとらさん
NAKAHARA-LAB.NET BLOG by junさん
My Face, My Style by 外川浩子さん
今日を生き抜け! by カラスさん
『アクア』りびんぐルーム by アクアさん
オーパス・ワン by サーチさん
ミツユビナマケモノの生まれ変わり(としか思えない)のたわごと by ミツユビさん
末っ子サクラ子さん by サクラ子さん
日々是開発 by hiroyaさん
素敵な夢を叶えましょう by yuyupureさん
Relax Room by harmony_cuteさん
blog.takubon.net by たくぼんさん
メイコの手抜きオーガニック生活 by メイコさん
mannbo de ホラー吹きhouse by mannboさん
あひる! by kobiri78さん
孤客の椅子 by 孤客さん

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コメント

お久しぶりです。
この本はチェックしていたところだったので、先にみかん星人さんのお話が聴けてよかったなと思いました

忘れてはいけないこと。
そのひとつにあの事件があるなと思いました

この事件が起きる数年前に、児童書ではありますが、かなりにたような事故を取り上げた本があります。
たつみや章さんの「夜の神話」という講談社から出されている本です。

子どもだけに読ませるのはとってももったいない。
大人だからこそ読んでいただきたい作家さんの本です

たつみやさんは日本のファンタジーをかかせたらそれこそピカイチではないか?と思うくらいとても奥が深く・・・読後も心になにか大切なものを残してくれる作家さんで大ファンなんです。

大切なことを次世代につないでいくために本がある。
ことばがある

最近とくにそう思ってます


投稿: ハイタカ | 2006年11月21日 (火) 午前 11時30分

TB, ありがとうございました!
「みかん星人」の部屋を拝見させていただきました^^
素敵な記事がもりだくさんで、感心しました~これからも訪問させていただきます☆彡

投稿: yuyupure | 2006年11月21日 (火) 午後 03時56分

 TB、有り難うございます。 
 この本、多くの人に読んで欲しいですね。
 
 演劇がお好きですか。私は古~い新劇ファンです。
 木村光一演出の『美しきものの伝説』『夢・桃中軒牛右衛門の』忘れられません。

投稿: きとら | 2006年11月21日 (火) 午後 10時08分

ハイタカさん、コメントありがとう。

『夜の神話』、さっそくAmazonでみてみました、、、
うん、これは面白そうですねぇ。。。
1500円以下の注文があったときにでも、一緒に。。。

》大切なことを次世代につないでいくために本がある。
いやもう、本当にそうですよ。
本を読みましょう、、、無駄になることは、めったに、ありません(笑)

投稿: みかん星人 | 2006年11月21日 (火) 午後 11時50分

yuyupureさん、コメントありがとうございました。
本来でしたら、私がそちらにコメントすべきところですのに。。。

yuyupureさんのブログ、タイトルからしてすばらしいですね。
http://blog.goo.ne.jp/yuyupure
拝読したところ、どうやら「あの」名曲から取られたとの事。
私も「彼等」の大ファンですし、12/1には横浜へ参ります。
本当は、ここも、「彼等」の話を中心にするハズでしたが、
どーしてか、違う話題が多くなっています(笑)

これからもよろしくお願いします。

投稿: みかん星人 | 2006年11月21日 (火) 午後 11時54分

きとらさん、コメントありがとうございます。
本来でしたら、私がそちらにコメントすべきところですのに。。。

はい、演劇、好きです。
と言いますか「芸術」ならどんなものでも関心があります(笑)

木村光一氏と言いますと、
残念ながら、私は『頭痛肩こり樋口一葉』ぐらいしか存じていません。
ポスターが妙に印象的でしたね。

私は、野沢那智氏の「薔薇座」が演劇の入り口でした。
ですので、どちらかというと洋物が好きなのかもしれません。

これからもよろしくお願いします。

投稿: みかん星人 | 2006年11月22日 (水) 午前 12時02分

簡潔でいて的確に伝えたい部分が押さえてある・・・・

素晴らしい文章と言うのはこういう文章ですよ(笑)

自分はまだまだ修行が足りません(汗)

投稿: momochichi | 2006年11月22日 (水) 午前 12時55分

momochichiさん、コメントありがとうございます。
お陰で良い本を読めました。

と、、、「こういう文章」って、拙文のことですか?

いやいや。。。それはもう、お互い様(笑)というか、、、

頑張りましょう(*^^)

投稿: みかん星人 | 2006年11月22日 (水) 午後 02時52分

はじめまして、脱原発学習会を行った時に、講師の方から、この本を紹介され、読んで衝撃を受けました。もっとたくさんの人にこれを読んでもらいたいと思っています。TBさせていただきます。

投稿: kobiri78 | 2006年12月21日 (木) 午前 07時19分

kobiri78さん、コメントありがとうございます。

ほんとに、一人でも多くの人に読んでもらいたい本ですし、
あのNHKの番組も、定期的に再放送して欲しいものです。

話は微妙に変わりますが・・・・
最近、東京電力のコマーシャルで広告されているこのページ。
なかなか興味深いですし、注視しておいた方が良いですね。
http://www.tepco.co.jp/pavilion/energy/
重要なのは「エネルギー問題」でしょうし、
これは「戦争」も同じですが、
この問題で「誰が儲けているのか」を考える事ですね。

投稿: みかん星人 | 2006年12月21日 (木) 午前 07時49分

はじめまして
私はNHKの放送でJCOの記録を見ました。その内容に衝撃を受けました。これがきっかけで原子力に関して調べてみたところ、大変危険であると強く認識し背筋が寒くなりました。
日本では現在55基もの原発があり、地震大国です。
先日の新潟県中越沖地震では地震により放射能が漏れました。
さらに、この地震の1000個分もの巨大地震が原発の直下で切迫しているそうです。(雑誌Newton2007.10月号)

私が情報収集をするうちに役に立ったHPを見つけましたので、興味があればご覧ください。

http://www.stop-hamaoka.com/

http://blog.livedoor.jp/kyuukyoku_bousai/

http://www.interq.or.jp/tokyo/ystation/

みかん星人様が原発震災や核災害で朽ちていかない為に役に立つと思います。

それでは、また、訪問させて頂きます。

投稿: 佐藤 貴昭 | 2007年8月27日 (月) 午前 02時11分

佐藤 貴昭さん、コメントありがとうございます。

エネルギー問題は、本当に難しく、
そして急いで解決しなければならない問題ですね。
原子力に頼らずには、この「文明社会」は維持できないでしょうし。

大切なのは「考える事」ですね。
ご紹介いただいたページや、この本『朽ちていった命』も含めて、
ともかく「考える事」が第一歩かと思います。

そして、話し合いましょう。。。どうすべきなのか?を。

これからも、よろしくお願いします。

投稿: みかん星人 | 2007年8月29日 (水) 午後 10時22分

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朽ちていった命 被曝治療83日間の記録新潮文庫著者:日本放送協会 出版社:新潮社 定価:438円(税別)核実験で話題になってる国もありますから、今この機会に読んでみてください。もう、なんて言っていいか、衝撃的です。想像を絶します。でも目を背けちゃいけない気がして... [続きを読む]

受信: 2006年11月25日 (土) 午後 04時58分

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