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2006年11月24日 (金)

『RENT』 @ 東京厚生年金会館

「映画」で興味を持って、とうとう舞台も観て来ました。

「映画版」のとはだいぶ違いますし、
映画に関しては別に書きたいとも思っていますので、
ここでは「舞台」で観た『RENT』に関して書きたいと思います。

物語や、その背景に関しては、他の場所で探して読んでください(笑)

で、「他の場所」で読まれると、余り評判が良く無かったり、
音や字幕に関して注文が出ていたりしますね。
でも、私か観に行った時にはそんな問題はありませんでしたし、
「外国語モノの字幕」は、映画にしたところで限界はあるわけで、
そこは「あきらめる」しかないと、もう30年以上思っています(笑)

みかん星人は、ジョアンヌを演じたアンドレア嬢に参りました。
マスキュランな様子も素敵ですが、ともかく歌がめちゃくちゃ上手い!
ACLのディアナの経験もあるそうで、さすがです。
全般に「魅力的!」とまでは行かないものの、歌のレベルは高くい。。。
ちょっと、ミミさんのファルセットが残念だったかな。
あ、残念といえば、『Seasons of love』でのソロパートは、
映画ではジョアンヌなのに、舞台では違っていました。。。とても残念。

で、まあ、観終わって、いろいろ考えてみて、ふと思ったわけです。。。
「ああ、これって、未完成なんだ・・・」って。
良くできた舞台、例えば『アイーダ』などは典型ですが、
いきなりブロードウェイに登場するわけではなくて、
地方で公開されて、反応を見て、改良して、トライアウトを繰り返し、
そして「夢のブロードウェイ」にたどり着くわけです。
最近観てしまった『マリー・アントワネット』もそうで、
来年にはきっと良くなって帝劇に戻ってくるのです。
(と思っていたら、早々に凱旋するらしくて、呆れるやら、情けないやら)
ところが、この『RENT』には、そんな余裕は無かった・・・
1994年の11月に10回程公演した後に改良をされて、
次の公開が、もう、運命の1996年1月25日になってしまう。
だから、これを書いた「ジョナサン ラーソン」は、
客の反応を観て、もう一度これを見直す機会が、無かったわけです。

冒頭の『Rent』に始まって、『One song glory』や『Light my candle』、
そして『Life Support』と『Another day』、『Santa Fe』そして『La vie Boheme』。
『I'll cover you』や『I should tell you』『Without you』。
なによりも凄い『Seasons of love』と、
物凄い名曲が集まっているミュージカルなのだけれど、
この中で「舞台にある物語の展開と完全にリンクしている」と感じられるのは、
『I'll cover you』とか『Santa Fe』そして『Another day』の場面ぐらいかも。

例えば、先にあげた『アイーダ』では、
『ローブのダンス』や『迷いつつ』、そしてアムネリスが歌う『真実を見た』は、
歌の凄さもさることながら、ここで大きくドラマが動く。
或いは、JCSでの『スーパースター』の様に、
物語を締めくくるに相応しい曲が総てを昇華させる瞬間があったりする。
この『RENT』でも、
『Seasons of love』とか『Another day』という曲にはその資質があるのに、
それが【舞台】を完全に燃焼させているかと言うと、かなり物足りない。
とくに『Seasons of love』を二幕の最初に使うというのは、なんだか違う気がしたり。
この曲は、もっと相応しい場所があって、
青春群像であるこの舞台を最高に甘酸っぱく痛々しく、
そして美しく燃え上がらせる場面があるような気がするのです。

今のところ、ラーソンの影響が大きすぎて、またそこそこ良くできているから、
大きな演出変更をできないままに、10年が過ぎてしまっているのだろう。
だけど、このミュージカルは、本来、もっと人々を熱狂させられる資質を持っている。
舞台を観た人々が、その場に永遠に居たくなってしまう程の魅力を持てる気がする。
少なくとも、私は、今のままの『RENT』ならば、
単なるコンセプトが強烈なロックコンサートに過ぎないと感じたのでした。

とんでもない才能を持った演出家が現れ、『RENT』をより磨いてくれる日を待ちたい。

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コメント

未完。なるほどと思いました。
映画版を観た後だから、ということもあるでしょうが、
どこか物足りなさを感じました。
でも、ジョナサン・ラーソンが亡くなったことで、
製作サイドも「完成」を拒絶しているような気もします。
DVDの特典版を観てしまうと、「ジョナサン・ラーソンの作品」
であることを残したいという強い意志が感じられましたし・・・。
ジョナサンの家族が監修した映画版が、一番それに
近いのかもしれません。

投稿: えみーご | 2006年11月29日 (水) 午後 07時16分

えみーごさん、コメントありがとう。

》どこか物足りなさを感じました。
はい、、、ひとつには「大きすぎる劇場」も問題でしょう。
国際フォーラムC辺りが、ミュージカルでは限界ですねぇ。

DVDの特典はまだみて無いのですが、
記者会見の時に少し流れた映像をみると、
本当にラーソン氏が愛され、これが大切にされていると感じました。

実は、映画版を劇場でみた時には、
「上手に流れすぎていて、感情が爆発する場面が無い」
と感じたのです、、、淡々と進みすぎる感じ。
それで、舞台ならカタルシスがあるかと思ったのですが・・・
二幕のオープニング、まだ休憩から戻っていない人もあったりで、
やはりあれはもったいないなぁ・・・(笑)
SOLがエンジェルの死と重なるような演出だったら、凄いかも。。。
(舞台でのエンジェルの死が、いまひとつで、完全に映画版に負けていたと思う)

あと、、、やはりブロドウェイで観たいですね(笑)

投稿: みかん星人 | 2006年12月 1日 (金) 午前 11時06分

「RENT」はどうしても、「ラーソンの死」こみで語られてしまいますし、私自身そう観てしまいます。特に映画はそうでした。
予備知識なしで、初めて舞台を観たときは、ほとんど入り込めませんでしたから、みかん星人さんのおっしゃることに納得。でも、「完成品」を観たい気分半分、観たくない気分半分、というのが正直なところです。

投稿: きし | 2006年12月 3日 (日) 午後 11時29分

きしさん、コメントありがとう。

》「完成品」を観たい気分半分、観たくない気分半分
ええ、そうかもしれないですね。
「完成品」には、ラーソンを感じなくなっているかもしれませんから。

この『RENT』は、きっと、ラーソンが残して行った偉大なパズルなのでしょう。
もしかしたら、ラーソン本人は、10年後の「完成品」を意識していて、
そのヒントをどこかに残してあるのかもしれません(笑)

そもそも、シェークスピアにしたって、既にオリジナルの影は無く、
あらゆる演出と解釈の洗礼を受けつつも、
「シェークスピア」として燦然と輝いていますものね。
『RENT』も、400年後、そういう1本になっているかもしれません。


そだ、、、劇場でもうひとつ思っていた事。
「ラーソンが生きていたら、この8人の10年後を描いたかもしれない」
なんて事も少し思いました。
今ではHIVは死のウイルスでは無くなり、
ロジャーもミミーもコリンズも行き続けている可能性がありますし、
彼らの心の中に生きるエンジェルを描くことで、
この『RENT』のエンディングを更に深いものにできる可能性があるのですから。

本当に、惜しいことです。。。

投稿: みかん星人 | 2006年12月 4日 (月) 午前 12時59分

大阪公演いってまいりました。
みかん星人さんはジョアンヌですか!
私はコリンズの歌声が気に入りました♪
私も舞台版のエンジェルの死の描き方がイマイチ不満ですね。
もっと心に訴えかけるようじゃなきゃねぇ。。
こちらは映画版のほうがよかったかな。

投稿: komame | 2006年12月 4日 (月) 午後 04時16分

私もジョアンヌの歌声に参ったクチです。あとコリンズの声量にも惚れました。本当に歌のレベルが高かったですね。

皆さんの「完成」に関するコメント興味深かったです。自分の成功を見ることなく逝ったラーソンと、それゆえ時が止まったままの状態になってるこの舞台と、そして未熟で未完成な若者達の物語。
舞台を見るときこうした背景を見てしまうのは本来は邪道なのかもしれませんが、この「RENT」の場合それも一つの魅力の一つになってるのかななんて感じてしまいました。

投稿: mari | 2006年12月 4日 (月) 午後 11時32分

komameさん、コメントありがとう。

「トム コリンズ」って、名前が美味しそうですよね(笑)
彼の低音も気持ちよかったですし、
映画版のもそうでしたが、彼の屈託の無さが救いですよね。
とても好きな役どころです。

エンジェルの最期は、ほんとうにどうにかして欲しかった。
「崇高さ」のようなものを少しも感じなかったのが、悲しかったなぁ。
実際、AIDSで亡くなるのって、かなり悲惨な状況らしいですね。。。
映画ではその辺りまで描かれていましたけれど、
その描写が、ますますエンジェルという存在を浮き上がらせていたと思います。
・・・この辺りの事は、映画版の記事で書きたいなぁ・・・

投稿: みかん星人 | 2006年12月 5日 (火) 午前 12時29分

mariさん、コメントありがとう。

そっか、、、『RENT』には3つの「未完」があるんですね。

そう、確かに「背景」は除外して観た方が良いのですが、
「もしかしたら未完なのかも」と考える事で、
この『RENT』はますます「わたし」のものになってゆく気がします。
「舞台の上だけの事」ではなく、
「わたしにとって、この舞台は何なのか?」を考える事を、
きっとラーソンは求めているようにも感じられます。

投稿: みかん星人 | 2006年12月 5日 (火) 午前 12時34分

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ブロードウェイミュージカル『RENT』の日本公演に関する記者会見があり、それに行 [続きを読む]

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