『ゲド戦記』
ふむ、、、
この作品を「面白くない」という意見は、理解できる。
「失敗作だ」と言いたい気持ちも、「理解できない」と言いたい気持ちも、解る。
ここにも面白いことが書かれているし、なるほど、と思う。
特に原作者の言葉には、いろいろと考えさせられる。
でも、私はこの『ゲド戦記』は、よく出来た、良い映画だと思った。
手法として「アニメーション」を選択すると、
それは「ジブリ」にとっては当然&自然な選択なのだが、
どこかに「こどもにも理解できる作品であるべき」であったり、
ひいては【ノスタルジー】とか【カタルシス】を求められてしまう気がする。
が、「映画全般」においては、必ずしもそうではない。
観客を突き放したり、追い詰めたり、苦しめたりする映画も、よくある。
この『ゲド戦記』は、観客を突き放した映画だと思う。
この『ゲド戦記』は、ジブリが脱皮しようとしている姿に、だから、思える。
もちろん、今までも「アニメーション」という技法を使った映画で、
「小難しい作品」はいくつもあった。
ポイントは「ジブリ」がそれをした、という事。
多くの意見が、「ジブリ」がこの映画を作った事への違和を語っているし、
実際、もっとも作品を理解してこの映画を宣伝すべきだった代理店が、
一番最初にこの映画を理解できなかったのだろう、、、とも、思う(笑)
ま、そんな事はともかく。。。
「父親」は、実際、大変に偉大だ。
みかん星人の父も、自慢ではないが、大変に偉大な男だと思っている。
最近では、衰え始めた彼に負けない部分が出てきたが、
例えば「釘を打つ」という仕事においても、私は彼に敵わなかった。
この映画で、アレンとハイタカが農作業をする場面がある。
私は、あの場面に甚く感動したし、
「ああ、監督は、これが解っているのだ」と感じた。
農作業には限らない。
ただひたすら歩くという事においても、
若いアレンはハイタカに心配を掛ける。。。。
きっと、こういう場面が持つ(伝えようとする)意味を感じないと、
この映画は「説明不足」になるかもしれないなぁ。。。
実際、私は、ほとんど過不足なくこの映画を体感できたと思った。
台詞の一つ一つが、
他に言い換えようがないほどのメッセージとして入って来た。
前作の『ハウルの動く城』が、
「恋愛の高揚感」を知らない者には理解できないのと同程度に、
「立派な父(先人)」に出逢ったことの無い者には、
この『ゲド戦記』という映画は、理解できないのかも、しれない。
たくさん説明して貰わないと「解らない」と平気で口にするこの日本では、
(例えば、新聞やテレビで散々報道された法律改正が、
いざ自分に関わると分かった頃になって、
ようやく驚いたように「聞いてない」「知らない」と言い出す者が実に多いのだ)
この映画は、説明不足で、暗くて、面白くない映画なのだろうなぁ。
・・・なんて、今日はちょっと辛口(笑)
だって、本当になかなか面白かったのだもの。。。
少しだけ注文したいのは、
「もっと気楽に、時々微笑める場面を入れて、作ってほしい」って事かな。
アニメーションに限らず、映画は「画」の芸術だから、
「画」でも伏線を張ってほしいのよね。
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コメント
たぬちゃん、コメントありがとう。
えっと、、、そのじょしこうこうせいさんは、
おぢさんの事を憶えておいででせうか?
映画鑑賞デート、してみたいなぁ。。。と(爆)
「詰め込みすぎ」かあ、、、
なるほど、中途半端なままという印象なのでしょうかね?
もう少し丁寧に説明して前後編というところが正解かもしれませんが、
おぢさんは下巻を待てずにメタボリックで逝ってしまいそうです。
投稿: みかん星人 | 2006年9月19日 (火) 午前 09時28分
ジブリ作品にはプロデュースに不満があるので微妙な立場をとってますが、映画好きな女子高校生に言わせると「詰め込みすぎ」だそーでスよ。せめて前後編かなと。
女子高校生は原作を読んでいませんが、「読んでみようかな」との一言。
そういう入り方もあると思うので、原作と比較するのはどうかなぁと思うこのごろです。
#って、某アニメがあまりに原作とかけ離れていたから完璧にボイコットしていたおいらが言うことではありませんがな(苦笑
投稿: たぬ | 2006年9月19日 (火) 午前 09時02分
暁音さん、コメントありがとう。
もちろん「ハウス名作劇場」もわかる、みかん星人です。
http://www.bandaivisual.co.jp/kidstop/meisaku/
とか、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%90%8D%E4%BD%9C%E5%8A%87%E5%A0%B4
ですね。。。
『母をたずねて三千里』から見ていませんが(笑)
そうですね、どうせだから「ジブリ」が帯び番組として、
この『ゲド戦記』を全部製作して放送すれば良いのに・・・
私もこの映画を観て原作に興味を持ちました。
それは、前の『ハウルの動く城』でも同じで、
たしかハウルの時だって「原作と随分違う」という意見が出ていましたね。
駿パパの作品だから、そんなのはなぎ倒してしまったようですが(笑)
守備範囲、、、広いですか?
・・・驍宗さま、心配ですね(笑)
投稿: みかん星人 | 2006年9月19日 (火) 午前 08時13分
葉直さん、コメントありがとう。
「実は簡単なことを難しく語る」場所ですので、
その辺りがここの突っ込みどころかと思います(笑)
》ゲド戦記、私はとても解り易い作品だと思いました。
御意にございます。
脇目も振らずに、一人の若者を追い続けたこの作品は、
「広がり」には欠けるのかもしれませんが、
アレンくんを見守る面白さがあったと思います。
そう、ジャニーズの誰かの成長を見守る面白さ、かな(*^^)
投稿: みかん星人 | 2006年9月19日 (火) 午前 07時58分
みかん星人様、こんばんは。
こちらのリンクから原作者様のコメントを読みまして、「これはキツイ」と思いました。
長編の「ゲド戦記」を2時間で表現しきるのは難しいですし…それこそ「ハウス劇場」みたいに30分4クールでTVアニメ化しなければ無理な気がします。
現実化したら私は絶対見ますけど(笑)
(みかん星人様が「ハウス劇場」をご覧になったことがあればいいのですが)
私は設定のわかりにくかった部分は原作を読んで補いたいと思いました。そういうファンもいるのですけどね…
登場人物の心情や生きる上で大切なことは充分に伝わったと私は今でも思っています。
そして、みかん星人様は守備範囲が広いですね~!
まさかジブリでTBをいただけるとは…嬉しいです。
こちらからもTBさせていただきます。
投稿: 暁音 | 2006年9月18日 (月) 午後 09時08分
みかん星人さんの記事は、私には難しいものが多く、
久~~しぶりにコメントします、葉直です、こんばんは。
ゲド戦記、私はとても解り易い作品だと思いました。
けれど、“「父親」は、実際、大変に偉大だ”云々に関しては、
読ませて頂いてから気が付きました。
みかん星人さんご自身が、お父様を「大変に偉大な男だと思っている」ことは、
本当に素敵ですね…。
私の両親は、残念ながら反面教師でしたが、
それでも愛していましたし愛された実感もあります。
その上、自分の親を誇りに思えるなんて、どんなに幸せか…想像してます・笑。
投稿: 葉直 | 2006年9月17日 (日) 午後 11時40分