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2006年9月18日 (月)

『オレステス』 @ シアターコクーン

大掛かりで、派手な演出だからといって、
その芝居が「難しい」というものではないという、素晴らしい典型。
 (まあ、四季でも『オペラ座の怪人』は派手な舞台だけれど単純な物語。
  むしろ『コーラスライン』のような単純に見える舞台の方が深遠な話か)

ここには珍しく、粗筋を書いてみよう。。。

今から3千年以上昔の「トロイ戦争」が終わった頃のギリシャ。
オレステス(藤原竜也くん)は、実の母クリュタイムネストラを殺した。
それは、彼女が、不倫相手のアイギストスと共謀して、
オレステスの父・アガメムノンを殺したから、だった。
オレステスが「母殺し」の大罪を犯したのには、
それが太陽の神・アポロンの神託によるものだったから、でもあり、
神託ゆえの正義に、オレステスの姉・エレクトラ(中嶋朋子さん)と、
彼の親友・ピュラデス(北村有起哉くん)も協力しての凶行だった。
 (この辺りのエピソードから『エレクトラ・コンプレックス』という言葉ができた)

が、もちろん「母殺し」の大罪は免れず、オレステスエレクトラは、
今日のアルゴスの民の裁判により刑が決められて執行される。
その事で苦悩し、憔悴している彼らの元に、
「トロイ戦争」から命からがら戻った叔父のメネラオ(吉田鋼太郎さん)が来る。
彼は、「トロイ戦争」の原因となったヘレネ(香寿たつきさま)の夫であり、
ヘレネ奪還のために尽力したアガメムノンに多大なる恩義を感じている。
だから、その仇をうったオレステス姉弟の名誉回復に尽力してくれる、
と、そう彼らは考えた。
しかし、メネラオはそれを遠まわしに拒んでしまう。

追い詰められたオレステスを、親友ピュラデスが訪ねる。
彼は、無実を立証すべくオレステスを連れてアルゴスの民の前に立つが、
議論に負けて、死刑が確定してしまう。
ついにピュラデスは恐ろしい提案をする。
「トロイ戦争の元凶となり、多くのギリシャ人を戦死させた悪女ヘレネを殺し、
 その娘ヘルミオネ(前川遥子ちゃん)を人質に取って、
 オレステスを見捨てたメネラオスを巻き添えにしてやろう」と。

そしてその恐ろしい計画は、実行された。。。

簡単に言うと、、、
神様に背中を押されて、
淫蕩な母に父を殺された不名誉を雪ぐべくその母を殺した男の子。
でもやはり「罪は罪」として糾弾され錯乱してしまう。
頼りになるはずの者は期待を裏切り、ついには死刑を言い渡され、
一縷の望みを抱いて、社会的に非難されている存在の殺害を企てる。。。
・・・と、いったところか。

そう、これはどこかで聞いた「憎悪・復讐・悲劇の連鎖」と相似形。
演出の蜷川氏は、芝居の最後に、
「イスラエル国」「パレスチナ自治区」「レバノン共和国」「アメリカ合州国」
の国旗と国歌を印刷したビラを盛大に降らせた。。。

いや、実は、この最後の演出で「ああ!」と解った私でしたが、
芝居を観ている間に考えていたのは、
「やはり、人を殺す真っ当な理由なんて、ほとんど無い」という事であり、
どんな理由で装飾してみたところで、
人殺しの原因は「欲」と「宗教」にあったりするのだなぁと。。。
それをギリシャ悲劇が解明しているという驚きと、諦め。

蜷川演出は『ロミオとジュリエット』を観て、これが2度目ですが、
「こういうのを演出って言うんだよなぁ・・・」と感嘆しきり。
舞台の高さも利用した演出は、最後の最後まで圧倒的でした。

主演の藤原くん、すこしパターンが限られてきている気がしますが、
相変わらずの「狂気」は、「古畑」でも感じられた濃密なもの。
・・・未来が楽しみです。

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コメント

みかん星人さん、はじめまして!

先日は私のブログにコメントとTBしていただいてありがとうございます。

ギリシャ悲劇というと、小難しくてとっつきづらいイメージがありますが、蜷川さんはとてもわかりやすく演出なさってましたよね。
ギリシャ悲劇の時代から人類って何もかわってないんだな、って思いしらさられました。

投稿: yukika | 2006年9月21日 (木) 午後 10時44分

yukikaさん、コメントありがとうございます。

ギリシャ悲劇、というか、
「コロス」が登場する芝居も、これで初めて観ました。
「コーラス」の語源だとか聞きましたが、いやはや面白い。
舞台演劇の原点を蜷川さんが「観ろ!」と叫んでいるような、
なにかそんなメッセージを感じたりもしました。

これからもよろしくです(*^^)

投稿: みかん星人 | 2006年9月22日 (金) 午前 08時19分

>みかん☆人さま
何と言っても2400年のロングランですからね。脚本にいろいろ注文ありましょうが,舞台芸術らしい舞台と思いました。青少年の小賢しい正義が痛々しくてよいです。

投稿: とみ | 2006年10月10日 (火) 午後 10時14分

みかん星人さま
ご無沙汰しています。コメント&トラックバックありがとうございました。
> 「こういうのを演出って言うんだよなぁ・・・」と感嘆しきり。
ほんとに、蜷川さんは期待を裏切らないというか、裏切られっ放しというか、いつも「ヤラレタ」という感じです。原作・戯曲に忠実に、潤色しないであれだけ驚かせてくれる演出力はさすがという他ないですね。

投稿: スキップ | 2006年10月10日 (火) 午後 11時53分

とみさん、コメントありがとう。

2400年もロングランして、
ある意味で「効果が無かった」のかと思うと、
違う意味で演出家の苛立ちを感じたりね(笑)

「青少年の小賢しい正義」ですかぁ、、、
まあ、男なんて、初老になっても小賢しいだけで、お恥しいです(笑)

投稿: みかん星人 | 2006年10月11日 (水) 午後 06時13分

スキップさん、コメントありがとう。

「潤色しない」って、大切ですね。
そもそも、
「面々と受け継がれたもの(オリジナル)」を知らないと、
変化も鈍化も理解できないわけですから<温故知新(笑)

「古からのこんな物語がある」という事を堂々と伝える。
簡単なようで、度胸の要る仕事だろうなぁ。。。

投稿: みかん星人 | 2006年10月11日 (水) 午後 06時18分

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