『ミュンヘン』
来月3月5日(日本では6日)に発表される第78回アカデミー賞で、
「監督賞」と「作品賞」などにノミネートされている、今年の期待の1本。
「スピルバーグ作品」と構えて観すぎてしまったせいか、
ちょっとばかり拍子抜け、、、
もっと「愛が大事」とか「戦争反対」とか説教臭いのかと思っていたのに、
意外にも淡々として、
むしろ「諦観」というか、「冷静」というか、ともかく醒めた視線を感じた。
みかん星人は、自分をそれなりに物事を知っている奴と思っているが、
「イスラエル建国の推移」といった部分は、具体的に知らないのね。
この映画は、そんな経緯を知らずとも、
「映画の中」だけで完成しているし、脚本もとてもよく練れていて、
155分も難なく観させてくれる。
が、
やはり、「歴史」を知っていると、もっと楽しめる。
フランスを舞台にしたサスペンスとくれば、
どーしても黒い「シトロエンDS」が定番(笑)
これに登場したDSは本当に綺麗に(道具として)撮られていたなぁ。
撮影はいつものカミンスキー氏だったけど、あまり「狙った」構図はなく、
その分「ドキュメンタリー」に徹している感じが、こわいほど。
それでいながら、例えば、
ベッドを切り裂く場面での『カンバセーション…盗聴…』
パパとの食事での『ゴツドファーザー』
遠景でメンバーを捕らえる辺りの『007シリーズ』
らに対するオマージュ、或いは記号の導入が、スピルバーグらしいのかもしれない。
「ドキュメンタリー」でありながら「エンターテインメント」でもある。
ただ、
やはりこれはドラマとしては「入門編」であり、「中途半端」だと感じる。
キリスト教に疎いから「オリーブの木」という寓意も分からなかったし、
「国」を"country"とも"land"とも言わず"place"と言う事も分からない。
そもそも「シオニズム」って???という感じなので、
その辺りも理解できたら、ますます、、、つまらなく感じるのか(笑)
(スピルバーグ作品は、そういえば、対象を深く知るほど色あせるかも)
サスペンス映画として観られない題材なのが、混迷の理由か(笑)
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コメント
静馬さん、コメントありがとう。
なるほど、、、そういう意味では、
「アンブリン(スピルバーグの映画会社)」と、
「劇団四季(浅利御大のワンマン会社)」は、
似ていますね(爆)
スピルバーグは、
『カラーパープル』でオスカーが取れなかったのが、
いまだに悔しいのかも。。。
だから、本当は「ドーン映画」が大好きなのに、
時々「ジーン(とくる)映画」を撮っちゃうのですね(笑)
ただ、彼の語り口に漂うユーモアは好きです。
この映画でも「大量女装」場面があるのですが、笑えます。
投稿: みかん星人 | 2006年2月 9日 (木) 午後 11時50分
スピルバーグは作品のふり幅が広いですよね
ゴルゴのさいとう・たかをプロダクションみたいに、
何人もスタッフがいて
「じゃあキミはSF班、キミはヒューマン班、キミは
コメディ」って振り分けられてるのかもしれません…
私はどっちかというと愛と正義とかはキライなので
楽しめそうです。でも宇宙戦争のバカ殺戮モノも結構スキ。
投稿: 静馬 | 2006年2月 7日 (火) 午後 09時35分