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2006年1月20日 (金)

榊原 大 @ グローリアチャペルキリスト品川教会

キャッツシアターから程近いところ、
「ホテル ラフォーレ東京」のある「御殿山ヒルズ」の一角にある、
たいそうモダンな「グロリアチャペル」での、
『榊原大 Piano active ~2006越冬LIVE~』に当日券で、行ってきました。

初めて「教会」に入った日のことは、今も忘れない。
鐘楼が美しい、近くにあるカトリックの教会に入ったのは、
四半世紀ほど前のクリスマスイブのこと。
建物の中に入った瞬間、その荘厳さと威圧感で、跪きそうになった。
フランスはランスの大聖堂に入ったときも、
その経験があるから覚悟して入ったにもかかわらず、額づきそうだった。

とまあ、みかん星人にとっては、教会という場所はかなり神聖。
もしかしたら、堂々としていられない過去でもあるのか?<自分
 

今年最初の音楽ライブとなったこのコンサートですが、
とてもとても完成度が高いもので、2時間15分が夢の様に過ぎてゆきました。

演奏されたのは、アンコールやハンドベル(笑)も入れて16曲。
ほとんどが榊原大先生のオリジナルで、
中には懐かしい『坂道のおじさん』という、
タイトルに似合わぬスリリングな曲も聴けたりして、大満足。

大先生の曲にみかん星人が感じるのは、
【唐突な加速度と永遠の疾走感。そして心地よい遠心力と共に跳ばされる快感】
そんな思い。。。相変わらず解りにくい(笑)
例えば、演奏された『坂道のおじさん』という曲には、
東京の住宅街にある坂道をインラインスケートで駆け抜ける快感がある。
或いは、、、『君と僕の月』という素晴らしい曲は、
階段を駆け下りながら逃げる「キャンディス・ホワイト」を、
テリュース=G=グランチェスター」が延々と追いかける場面の背景で使われたなら、
その階段がどんなに長くても飽きることなく見ていられるほどにドラマチック。
さらに、
キャンディが唐突に「アンソニー、どーして死んじゃったの!」とうずくまり、
それに対応し切れなかったテリィが、ついうっかり手すりを越えて、
スザナよりも好きなんだぁぁぁぁ」と叫びながら奈落に落ちていったとしても、
その一部始終を感動的に昇華させてしまう力があるのです。

このコンサートには、大きな魅力が3つあったと思います。
一つは会場の音の良さ。
「教会」という、ある意味で(西洋)音楽発祥の空間で、
ピアノと、(セレブ・エンジェル室内)弦楽四重奏(団)と、
パーカッション、時にマリンバで紡ぎ出された音楽は、
楽器との距離を感じさせない、とても鮮度と密度の高いものでした。
(これは恵比寿のグラスコートでも同じ事を経験した)

二つ目は、その一つ一つ鮮明に届く音の、つまりは演奏者の上手さ。
メンバーは、真部裕&藤堂昌彦さんがヴァイオリン、
大先生室屋(室井光一郎)さんのヴィオラ、
まだ学生の多井智紀さんのチェロ、
そして大御所?歌手でもある大石真理恵のセクシー・パーカッションとマリンバ。
特に真部さんの弓を引き降ろすときの音の豊かさは蕩けんばかり。

三つ目は、このメンバー達の「協奏」の響きを重視した編曲だった事。
少しジャズな匂いが入ってくると、どうしても「ソロ回し」が多くなる。
それは『ボサマゴ』と大先生の共演では注目の部分ではあるけれどね。
この「ピアノ・アクティブ」では、「ソロ」があまりなくて、
演奏の楽しさよりも、楽曲の美しさを聴かせようという姿勢を感じた。
コンサートの冒頭もそうだったのだけれど、
最後の最後もピアノの音で締めくくられずに、
弦楽四重奏の音で閉じられた辺りも含めて、実に演出が最高だった。
                                           

いざなってくださったKさま、感謝です。

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