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2005年9月19日 (月)

『アスペクツ オブ ラブ』@自由劇場

「まさに、麻薬」。。。それが『アスペクツ オブ ラブ』の印象。

何度も繰り返されるメロディーが。魔法の様に物語を描き出す。
それは「アンドリュー ロイド-ウェバー」の得意技ではあるけれど、
例えば『オペラ座の怪人』における「とある場面の連想」だったり、
『エビータ』における「登場人物の記号」だったりする使われ方ではなく、
この演目においては「恋がもたらす気持」の記号として使われていて、
それがつまり、タイトルの『Aspects of Love』そのものなわけです。

と、まあ、難しげな事はともかく、、、続きへ。。。

こんなにも心に残るメロディーが幾つも登場する舞台はなかなか無いでしょうし、
それが自然に織り込まれているというのは、まさに天才としか言いようが無い。
たぶんロイド-ウェバーは20世紀後期を代表する音楽家として記憶され、
彼が作った多くのミュージカルはやがてクラシックと呼ばれるでしょう。
私達は、まさに今に生きるモーツアルトの作品に「新作」として触れているのです。

ヒロインの保坂さんは、もう言う事なし!
揺れ動く心を見事に表現してて、おかげで物語がとても解かりやすい。
みかん星人が憧れる役、、、
つまり「妻の稼ぎで楽しい人生を送る」という部分も含めて、
教養に溢れる財産家の、とてもモテるおぢさま、ジョージを演じるのは、
劇団四季の重鎮、光枝さん。やはり巧い!見習いたい、、、株での失敗以外は。

驚いたのは、石丸くん、、、とても上手かった。
まあ、相変わらず相手の台詞の間に芝居が出来ない感じだけれど(笑)、
17歳から34歳までをとても見事に表現している。
またクライマックスでのダンスがとてもセクシーで、
確かに15歳の従妹を魅了してしまうだろうなぁ。

その可愛らしさが劇薬の様に危険な雰囲気を放つ紗乃めぐみさんは、
おぢさんとしては、どんなに無理難題を言われても叶えてあげたくなる(爆)
けど、そう、この芝居の中で最も危険な存在なんだよねぇ。
で、その「危なさ」が、また、この『アスペクツ オブ ラブ』のテーマでもある。

は、自分自身に「革命」をもたらすものだ、、、というのが、みかん星の格言。
昨日までの全てを打ち砕いて新しい明日をもたらすものが本物のなのです。
終わってしまえば、また日常が戻ってくる「お祭」や、
帰ってくる場所を残したままでスリルを求める「冒険」、
そんな程度のは、本物のではない。
二度と過去の自分には戻れず、また確かな未来も約束されてないけれど、
それでも「求めずにいられない」ものこそが飛び込むべき本物のなのです。
この『アスペクツ オブ ラブ』には、その辺りもちゃんと描かれていて、
とても魅力的な舞台でありました。

沢木さんや北澤くんの登場も予定されているので、
まだ何度か観に行きたいと思います。
なにしろ、キャッツのスタンプが押されたカードがいっぱいあるしぃ(謎)

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コメント

え、、、村さんなの?

それは、なんだか、凄そうだわ・・・

投稿: みかん星人 | 2005年9月27日 (火) 午後 06時13分

ほー、、、いよいよ沢木ジョージの登場かしら?

投稿: みかん星人 | 2005年9月26日 (月) 午前 11時01分

ふふ、、、真冬さん、ここでは逃がしません(*^-^)

、、、って、確かにこれ以上はね。。。とは思いつつ、
「真冬さんを誘うためにも、もう一度観ておかねば」
というわけで、明日のソワレに行ってきます>ASP

さて、ほんと、我が家には何枚集まるでしょうか?<絵皿
クイズにしようかなぁ(爆)

投稿: みかん星人 | 2005年9月23日 (金) 午後 11時17分

今更ながらコチラにコメントでは、お困りになるでしょうから、レスはご無用です。

遅れましたのは機嫌を損ねたのでも、夜も眠れないほど考え込んだのでもなく、単に始発で出掛けて深夜に帰る生活に疲れていただけです・爆v

未見のアスペでこれ程想像を掻き立てられるとは・・・正直意外です。
そして思い当たったのは、自分の行動や言動は、実はコンプレックスをひた隠す為の隠れ蓑に過ぎなかったのだと言う事。
恋に限らず、対人関係に対しての防御バリアが強すぎる。
これでは飛び込むどころか、『ちょっと味見』(←間違っている!)も出来やしません。

葬式の件、肝に銘じておきましょう・・・
願はくは花のしたにて・・・とは申しませんが、華々しく花火を上げて去るくらいの、そんな歳をとってみたいものです。
たとえ1人でも!

↑で頂いた素敵なレスは、今後の恋の教訓として、キッチリとコピーさせていただきました。
ては、失礼します。

投稿: 真冬 | 2005年9月23日 (金) 午後 10時23分

ありがとうございます!そこなんですね。で、3度目が、危険な可愛らしさの彼女ですね。
することはしたなんて、大人な解説もうれしいです。したんでしょうね、やっぱり・・・(テン、テン、テン)。
最後になりますが、リンクありがとうございます。こちらからも貼らせて頂きますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

投稿: さっしー | 2005年9月22日 (木) 午後 09時44分

さっしーさん、コメントありがとうございます。
このついでというわけではありませんが、
リンクを貼らせて頂きましたので、今後もよしなに(*^-^)

さて、石丸さんのコメントで話題の「三度のドレス」ですが、
「ジョージが別荘に現れて、そして帰った日の夜」
の事だと思います。

二人が到着した夜は、鍵を壊し、ローズの機嫌を損ねて終わり。
 (や、もちろんすることはしたでしょうね。。。)
翌朝、パリのジョージに管理人から電報が届いた頃、
二人はコーヒー片手に宝探しをして、
ドレスと『シラノ・ド・ベルジュラック』を発見。
 (ま、夕方までもいろいろとしたのでしょうね。。。)
その夜、二人で演技(プレイ)を楽しんでいるとジョージが現れて、
そこでローズによる「1度目」となる。
ブランデーで回復したジョージは二人を置いてベネチアへ。
その夜、ディリアが登場して「2度目」。
 (その夜ローズは「愛され続ける女性」という意味を考えたり。。。)
翌朝目を覚ましたアレックスがローズを探す。
その間にローズは劇団と連絡を取っていて、
後刻アレックスと過ごしていたローズの元に電報が届く。
これが最初のピレネーの場面だと思います。

現在CDがヘビーローテーション中で、本当に中毒ちう。
役者さんが変わったらはやく観に行きたくてウズウズしています。

投稿: みかん星人 | 2005年9月22日 (木) 午前 01時22分

こんばんわ。お邪魔致します。
みかん星人さんの深い含蓄のあるお言葉の数々、そうかこういう意味があるのか、と、かみしめております。
寄せては返す波のような音楽にまた溺れてみたいです。
あのー、無粋なことですけど、亡き妻が一瞬舞台にいるらしいですが、発見できました?
私は全然分からなかったです。ローズと最初に着いた山荘のシーンが怪しい、と思ってるんですが・・・。

投稿: さっしー | 2005年9月21日 (水) 午後 09時02分

真冬さん、コメントありがとう。
 (以下、けっして喧嘩を売っているのではありませんので、
  笑顔でお読みくださいまし(*^-^))

この演目の中で取り上げられている「恋物語」は、
一つは『人魚姫』、もう一つは『ロミオ&ジュリエット』。
どちらもいわゆる「悲恋物語」なのですね。
この悲恋物語の登場人物達は過去を切り捨て、
未来の可能性に懸けて、しかし最後は命を失う。。。
人魚姫(原作での名前はなんというのかしら?)は15歳、
ジュリエットも13歳ぐらいと云う設定でしたね。

ことほとさように、ここまで強烈でなくとも、
「抜き差しならぬ恋」というのは危険で、
もしもそれが本物の恋であっても、
「空想の中に置かれるが吉」なのでしょうねぇ。

ところで、この悲恋物語、共通するのはコミュニケーション不足。
ロレンス修道士の手紙はロミオに届かず、
人魚姫にいたっては「言葉」自体が封印されている。

教訓:恋は多大なるコミュニケーションの末に成り立つ。


実は、この舞台ではもう一つ「恋物語」が取り上げられています。
『シラノ・ド・ベルジュラック』がそれ。
彼は大きな鼻ゆえにロクサーヌへの恋心を打ち明けられませんが、
ハンサムなクリスチャンの容姿を通して自分の思いを伝え続けますね。
で、それが最後にバレてしまうという件が、
アレックスとローズの間で演じられるのですが。。。
ともかくも、ロクサーヌが愛していたのが、
自分とのコミュニケーションだったと知った時、シラノは瀕死。
ここにもやはり「楽しい未来」は無いわけです。

教訓:コンプレックスもいい加減にしましう。


で、ここで別に、
「コミュニケーションし、コンプレックスを吹き飛ばせ」
などという話がしたいわけではなくて、、、
「たとえ自分の葬式が寂しいものになろうとも、
 無理してまで「恋」を追いかけて命を削る必要は無い」
ということ、、、だったり。

                ・・・するのかしらね(笑)

投稿: みかん星人 | 2005年9月21日 (水) 午後 07時14分

>>二度と過去の自分には戻れず・・・

されど・・・その思いは、空想の中に置かれるが吉でありましょう・・・。
実際に、『のっぴきならない人生っ』てヤツは、全くの救いがありません。
この歳まで長らえた年寄りが言うのですから、間違いないです・笑

何故にアスペに限っては食指が動かないのか・・・みかん星人さんの文章を拝見して、やっと思い当たりました・・・つまりは、まぁ、そう言うことだったのですねぇ~。

よし、良い恋をするぞぉ!
差し当たり、縞々の・・・(大馬鹿です)。

投稿: 真冬 | 2005年9月20日 (火) 午後 02時22分

風流さん、コメントありがとう。

10月だと「異国抜け」がありそうですものね。
けど、先日の『キャッツ』で起きた途中交代劇を観ましたので、
ここでも、
「17歳のアレックスを北澤くん、その後は石丸くん」
という禁忌が起きないかと期待したり(爆)

音楽に注目していると、自ずと人間ドラマが積み上げられるこの舞台。
唐突に現れる冒頭のメロディーが、幾度と無く観る者の心を揺さぶります。
その甘酸っぱい気持ちに溺れてきてくださいね(*^^*)

投稿: みかん星人 | 2005年9月20日 (火) 午前 08時37分

こちらにもこんばんわー!
なんだかすごく大人なレポで深いです~。
私は10月に観劇予定なのでキャストが今とは違いそうな予感です。
音楽に惹かれて観に行くのですが、レポを拝見して人間ドラマにも注目しなきゃ、と今更ながら思いマシタ(^^;
みかん星人さん家に最終的に何枚の絵皿が集まるのか・・・それも楽しみデス♪

投稿: 風流 | 2005年9月19日 (月) 午後 10時31分

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