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2005年9月22日 (木)

『ミュージカル 李香蘭』@秋劇場

なかなか感想が書けない舞台です>『李香蘭

以前、えみーごさんのページに少し書き込みさせていただきましたが、
そういう「歴史的事実」との錯綜&混乱もあって、文章になりません。

なんて事では困るので、と、少しずつ書いておりました、のが「続き」。

まず「歴史的事実」を補足します。
先にえみーごさんのブログをお読み頂けるとありがたいです。

えみーごさんへのコメントに書いた中に、私の誤解がありました。
劇中で映画を撮っていたのは「満州映画協会」つまり「満映」。
これは1937年に長春(当時は新京)にできた映画会社で、
劇中でも描かれているとおり「日満親善」を掲げてはいたものの、
実体は「日本に服従する満州・中国」を喧伝するための存在でした。
例えば、主役は日本人だけでしたし、脚本も日本の映画の焼き直しで、
賃金も待遇も人種によって大きな差があったそうなのです。
ここで作られた映画『白蘭の歌』『支那の夜』『熱砂の誓ひ』は、
後に「大陸三部作」と呼ばれますが、
どれも中国女性(李香蘭)が日本男児(長谷川一夫)に最初は抵抗し、
しかる後に二人は恋をし、幸せに結ばれる、という中国にとっては屈辱の内容。
で、この作品あたりが原因となって、
後に李香蘭は法廷で「漢奸」として糾弾されるわけです。
さて、ここからが「誤解」だったのですが、
李香蘭は、後にこの「満映」を離れて、
1939年上海にできた「中華電影公司」で仕事をするようになります。
こちらも軍の意向で中国の文化侵略を目的に作られた会社でしたが、
この実質責任者となったのが川喜多長政だったのです。
彼は「中国人が中国人のための映画を作る」事を主眼において努力し、
中国の物語を上手く使うなどして映画を作りました。
ま、おかげで「中華電影公司」で作られた映画は日本では上映できなかったり、
川喜多長政は軍部に狙われて暗殺されそうになったりするのですが、
その辺りは【みかん星】に書きたいなぁ。。。と(笑)

この「中華電影公司」で作られた映画が大ヒットして、
李香蘭は記者会見に呼び出されたそうです。
そこで「中国女性として『大陸三部作』などに出て恥ずかしくないか」と問われて、
「若い、何もわからないころにしたことです。今では後悔しています」
と答えたそうです。この台詞、舞台に出てきましたね。
こうして李香蘭は、川喜多長政が居る上海で生活するようになります。
舞台ではこの辺りの李香蘭を描いていないんですよね。
(まあ、戦争にかりだされ、人殺しをさせられた若者が死んでゆくあの場面は、
 なんど観ても泣かされちゃうんだけどねぇ、、、辛いよねぇ、悔しいよねぇ)
終戦直前、舞台衣装の李香蘭を李愛蓮が訪ねて来る場面がありますが、
これは1945年6月に行われた「上海リサイタル」でのことでしょう。
(ちなみにこのリサイタルでは『ラプソティー・イン・ブルー』も演奏された)
ここで登場する李愛蓮は、後に李香蘭の命を助けるリュバに当たるのでしょう。
リュバに関しては、少しえみーごさんのところにも書きましたが、
このリュバが、後に李香蘭を日本人と証明する戸籍を持ってきてくれるのです。
リュバは李香蘭が12歳の頃に出会ったロシア人女性で、
彼女が、肺を患った李香蘭に声楽を学ぶことを勧めたという経緯もあるのです。

さて、李愛蓮には、もう一人モデルが居ます。
1934年、14歳の李香蘭は北京の学校に通うのですが、
そこで知り合った親友・温貴華がその一人。
彼女は李香蘭が日本人であることを知っていましたが、
ある日、学生の討論会へと李香蘭を連れて行きます。
劇中『北京の抗日学生』の場面がこの討論会ですね。
この討論会で、実際に李香蘭は「北京の城壁に立つ」と発言し、
「あの時私はどちらかの軍隊の銃弾で死ぬことを選んだ」と回想しています。
みかん星人は、舞台のこの場面がかなり好き。

好きな場面、、、って事で、ようやく史実から離れますが・・・
やはりこの芝居は、最後の裁判長の言葉に尽きるでしょう。
『以徳報怨(徳を以て怨みに報る)』
裁判長の、いや長く戦乱や征服に苦しむ中国の歴史が言わせたこの言葉は、
人類が到達すべき最も美しい境地を表していると思う。
実際、この判決が無く、李香蘭の命がここで終わっていたなら、
私達は(少なくとも)この『ミュージカル 李香蘭』を観ることは無い。
このミュージカルを観たことが、
日本人の「戦争は絶対ダメ」という背骨になるとすれば、
つまりはあの裁判長が下した判決がこの国で開花しているという事なのだから。

正直、この舞台や『異国の丘』『南十字星』は、観るのが辛い。
「ミュージカルには似合わない」という思いからも抜け出せない。
けれど、こういう形で伝え続けようという姿勢は大切だし、
そのためには「ヒット」しなければならないのが資本主義社会なので(笑)
この舞台が、昭和歴史三部作の連続上演が成功することを願ってやまない。

ところで、、、とても気になるのだけれど。
二幕の「日劇リサイタル」での野村さんですが、、、あれ、生で歌っています?
2回、かなり前のほうで観劇しましたが、どうも発声に違和感があります。
あのリサイタルでの3曲は、あまりにも出来すぎな気がして仕方ないのです。

あと、、、『中国と日本』という歌ですが、、、
歌い出しの部分が「3時のあなた~ 3時のあなた~」と聞こえるのは、私だけ?
【3時のあなた】というのは、山口淑子さんが司会をしていた番組で、
みかん星人はこの番組で「山口淑子」という女優さんを知ったのであります。

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コメント

ナイショのナイショに真っ向から取り組むあたり、流石にみかん星人さんです。
いえ、でも・・・生声だと信じておりますとも!多分・・・(^^ゞ
役者としてのプライドが・・・モゴモゴ・・・。

観ていて楽しいと言えるミュージカルではありませんが、大切に育て続けて欲しい作品ではあります。
許されるなら新歌姫の登場も・・・と、微かな期待も抱きつつ、西に旅立つまでにもう一度観たかったと、限度額と睨めっこをしている秋の夜長です。

投稿: 真冬 | 2005年9月25日 (日) 午後 06時50分

こんばんわ。私の時は別の意味で生でした。あまりにも不調そうで・・・。なんだかもう咳をこらえながら歌ってるんじゃないかと思うくらい・・。だから今はもしかして・・・?と逆に思ってしまいます・・・いやさすがにそれは・・・。
ぜひ続けて欲しい演目ですよね。それにはやはりファンの支えが必要です。のでまた行きます(笑)。オルゴールゲットもあるしぃ(こっちのほうが重要だったり)。

投稿: さっしー | 2005年9月25日 (日) 午後 09時13分

真冬さん、コメントありがとう。

あの場面、扇を使い、群舞に囲まれ、なおかつ美しい抑揚をつけて歌うという難しい場面ですよね。そしてなにより「見せ場」なわけですから、不安定では許されない。
そういう場面を「ゆめまぼろし」のように美しく見せる工夫の一つが「それ」であるのなら、その姿勢もまた「役者のプライド」と言えるかもしれません・・・苦しいか(笑)

オルゴールを揃えるためにも、ぜひ今一度劇場へ行ってくださいね(*^-^)

投稿: みかん星人 | 2005年9月26日 (月) 午前 07時29分

さっしーさん、コメントありがとう。

あの場面での「不調」というのは残念ですよね。
だから、やはり、、、(*^-^)


オルゴールのスタンプ用紙が3枚できましたので、これで上手く行けば全部揃うのですが・・・どうやら楽曲を選べないらしいですね。これ、ネット上で「交換しましょう」なんてやり取りが発生しそう(笑)

投稿: みかん星人 | 2005年9月26日 (月) 午前 08時44分

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» 22日香蘭最前 [オレンジ娘 りんば坊]
なんかもう香蘭のことばっかり。 今日はLK友達引率なんだけど…香蘭がみたいよー!!うおーん!(泣) 自分でもビックリするぐらいハマってしまい、すでに禁断症状。 ビデオあるけど…あるけどさ!今のが観たいいい! だって枠も振り付けも全然ちがうんです! LKキャスト、昨日も今日マチネも友石さん今井さんのようです。 うーん。 ソワレはこのままかもしくは上田さんに交代かな? では香蘭ナンバー別に'''全部'''書きたいと思います。 ..... [続きを読む]

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