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2005年6月15日 (水)

『スカーレット・レター』

 英語で「誘惑する」という単語を幾つご存知?
 【allure】という言葉が最も素直な言葉で、香水の名前にもなってますね。
 【entice】も悪い意味ではなく、巧みに誘い込むことらしいです。
 【tempt】となるとかなり強引なニュアンスが出てくるらしいですが、
 【lure】【decoy】【inveigle】となると「騙して悪事に誘う」なんて感じ。
 そして【seduce】となると、、、
 ともかく、英語にはこれだけニュアンスの違う「誘惑」があるのです・・・

 この映画『スカーレット・レター』がテーマにしているのは【seduce】。
 つまり男女の間における「道ならぬ事への誘惑」とその「罪と罰」。
 これは冒頭で『創世記』の一節が語られることで強く印象付けられるし、
 続く主人公のモノローグでも、また映画の中間点における、
 「誘惑を楽しむ事は好きだけれど、、、最後までは、しない」
 という会話からも明確になっていました。

主演は韓国を代表する男優「ハン ソッキュ」。
彼の『8月のクリスマス』は観る度に泣かされてしまうし、
『シュリ』で描き出された苦悩もとても重苦しく悲しいものでした。
この映画で、彼と監督(脚本も)の「ピョン ヒョク」が考えたのは、
「結婚している男女は、こういうことをしてはいけない」
という事だったそうで、、、
まあ、映画は狙い通りのメッセージを観客に、特に既婚者に残すでしょう。

彼の愛人なのが、先日亡くなってしまった「イ ウンジュ」。
みかん星人は初めて拝見しましたが、
歌っている姿も含めて「松たか子」さんみたいな感じですかね。
泣いたり怒ったりしていると、とても綺麗に見えました(*^^)
しかし、もったいないなぁ。。。ただ、この映画を観て感じましたが、
彼女は「死」に魅せられたのではないかしら?
「生」の反対側としてではなく、もうひとつの道としての「死」に。
「ままならぬこと」に押し潰されていたのかな、、、、合掌。

彼女が映画の中で歌うのは、1997年にヒットした『Only When I Sleep』。
みかん星人が大いにハマった曲でしたので、はい、悶絶しました(笑)
歌詞が映画の内容ともシンクロしていて、
つまり「漠然とした存在に最高の愛を感じてしまう」みたいなお話、で、
最高に痺れる選曲でありました。

映画が終わった直後、映画館のそこここから、
「重かった」とか「どういう事?」などいう会話が聞こえましたが、
テレビで放送されるドラマを見慣れている人には難解だったかもしれませんね。
事件のディテールはともかくも、
結末が「ああ成る」事に関しては「選択の余地無し」と、私は感じました。

さて、もう一度「誘惑」のお話。
引用されていた『創世記』に書かれている林檎ですけれど、
あれは何のためにエデンの園の「真ん中」に植えられていたのでしょうか?
神様は、いつか人間が食べる、と予感、或いは計画していたのでしょうか?
神様というのは、つくづく楽をさせてくれない方のようですね。
そうでもしないと、人間ってのは、堕落してしまうって事なのでしょうね。

そういえば、この季節になると、
肌もあらわなファッション(かねぇ?)の女性を多く見かけますが、
あれも、神様が若い男性に与えてくださった試練なのでしょうか(*^-^)
初老の男にとっては、天佑ですけれどねぇ。

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