『炎のメモリアル』
お正月ごろから予告編が流されていて、
タイトルは最悪だけれど、ぜひ観たいと思っていた1本。
なにしろ『バック・ドラフト』という名作もあるほどに、
消防士を扱った映画は面白いのであります。
で、いやもう、こういう事だったのかと、痛く納得。
つまりタイトルは「正鵠」だったという事なのです。
これはまさに「メモリアル」として作られた映画であり、
要するに【9・11】における消防隊のメモリアルなのですね。
みかん星でも何度か書いているとおり、
アメリカで「消防」と「警察」はアイルランド系人種の仕事なのです。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』しかり『アンタッチャブル』しかり。
で、この映画でもその事をしっかりと描いています。
『ミリオンダラー・ベイビー』でも描かれていましたが、
アメリカで下層に居るアイルランド系の人々は基本的に「カトリック」なのです。
アメリカという国の成り立ちを考えてみれば分かりますが、
アメリカ合州国はプロテスタントの国なのです。
現在の紛争はそのほとんどが「民族」と「宗教」に起因していて、
つまりは、アイルランド系アメリカ人の立場は、そういう位置にあるわけです。
(『ミリオンダラー・ベイビー』は、これを踏まえてないと理解できない映画)
にも関わらず、国民のヒーローである「消防士」という存在。
そして同時に、そのヒーローも「やはりアイリッシュ」であるという現実。
(もちろん「差別」という現実ではなく、文化としてのアイリッシュの現実)
彼らが見せる「勇気」の本質がどこにあるのか、、、
それを最後まで突きつけてくれる作品となっていました。
映画の前半中盤で結婚式が描かれますが、
みかん星人がこれまで映画の中で観てきた結婚式の中で、
最も「普通の幸せ」に溢れている結婚式でした。
なんと幸せな、なんと愉快な、なんと温かい、なんと美しい人々であることか・・・
これこそ「人類の歴史」が到達すべき境地とすら感じるほどでした。
また、何度も流れる音楽は、
『タイタニック』におけるアイリッシュ音楽を想起させる美しく物悲しいもので、
これもまた、この映画を美しいものにしていました。
「ホアキン フェニックス」君も「ジョン トラボルタ」も本当に素晴らしい演技。
1本の映画としては少しだけ長いとは思いますが(実質110分)
「いつまでも観つづけていたい物語」と感じられる内容の良い映画でした。
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