「スパイク リー監督」の新作『セントアンナの奇跡』を観てきた。
スパイクリー監督というと、『ドゥ・ザ・ライト・シング('89)』で物議を醸して以来、
≪人種差別≫というキーワードで最も注目される監督だろう。
ミュージカル好きな人には、『RENT』の歌詞で耳にしているかな。
1996年に初演となった『RENT』は、
ジョナサンラーソンが7年の努力の末に結実させた作品だが、
その中の『Light My Candle』に監督の名前が出てくる。
『ドゥ・ザ・ライト・シング('89)』で話題というか、物議を醸した彼に、
ジョナサンはニューヨークらしさを感じていたのかもしれない。
ともかく、この『セントアンナの奇跡』は、
監督の名前が何より強力な引力を持つ作品だ。
とは言うものの、監督らしい物語や、メッセージ、テーマという部分よりも、
まず「画の綺麗さ、強さ」に圧倒される。
冒頭、かなりショッキングな事件の、その痕跡の強烈にして鮮烈な恐ろしさは、
しかし過剰ではなく、むしろ導入として見事であり、
最後には、その冒頭に設えておいた事件の衝撃度の意味を納得させてくれる。
と、いつに無く、映画の内容に踏み込んでしまっているが、
この『セントアンナの奇跡』は、そのタイトルに似合わず、意外と血なまぐさい。
なにしろ、タイトルの「セントアンナ」はナチスが虐殺を行った場所。
ナチスは「パルチザン(抵抗運動)掃討」として、民間人を大量に虐殺している。
(もっとも、こういった行為はナチスに限ったことではないんだけどね)
「セントアンナ(サンタンナ・ディ・スタッツェーマ)」でも市民560名を殺した。
映画では、実際にこの虐殺が行われた場所でもロケをしている。
この「セントアンの虐殺」も知らなかった事だけれど、
もっと驚いたのは、第二次世界大戦における、アメリカ軍の黒人兵の存在。
そういえば、映画『史上最大の作戦』に黒人兵っていなかった気がするし、
「バッファロー・ソルジャー」という存在も知らなかった。
(そういえば『バルジ大作戦』には黒人兵のエピソードがあったかな・・・)
この映画に登場するのは、そんな中で、初めて設立された黒人の部隊。
もう、この部分だけで、
いかにもスパイクリー監督の映画だなぁ、と思ったりするんだけど、
更に、監督は、
「この奇跡は、黒人だからおこせたんだ」
と言わんばかりの展開を見せてくれる。
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